ユナイテッド トウキョウ(UNITED TOKYO)の2022年秋冬コレクションが、2022年4月2日に東京・新木場で発表された。
今回、5年ぶりにフィジカルショーを開催したユナイテッド トウキョウ。日本の美しい自然の風景と四季の移ろいを表現したというコレクションのテーマは「雪月風花」だ。夏の風、秋の月、冬の雪、春の花…。季節の象徴的な題材から得たインスピレーションを、日本の伝統技術とともに衣服へと落とし込んだ。なお会場の演出は、常田大希が率いるクリエイティブチーム「PERIMETRON(ペリメトロン)」のMargtが担当した。
日本庭園を思わせる砂利道のランウェイを最初に彩ったのは、ホワイトやグリーンといった寒色カラーが「夏」らしい爽やかなルック。みずみずしく輝く水面や生命力のある夏雲など“常に形を変える自然の姿”を、左右非対称なデザインや大胆なカッティング、光の当たり方によって表情を変えるクリスタルのマテリアルなどで表現した。
古来の礼装である袴を連想させるワイドパンツは、夏の風を受けてたなびく軽やかな素材使いが印象的。トップスの袖には“絞り”を効かせて、日本らしさとユナイテッド トウキョウのモードなエッセンスを融合させている。
黒色や山吹色へとパレットが変化すると、ショーは「秋」のフェーズへ。ここでは凛とした姿のリンドウの花や、銀色の穂が揺れる矢羽ススキなど、日本の原風景から着想を得た洋服が登場した。たとえばニットやガウンには、伝統的な“矢羽根柄”を幾何学的に再解釈したオリジナルのパターンをオン。深いパープルと黄金のラメ糸の配色は、秋の月夜をイメージしたものだ。
雪が滔々と降り注ぐ冬景色や日本の禅庭の情景を描いた「冬」。脆く儚い美しさを描き出すためか、透けるレースのスカートや完全ハンドメイドのニットといった繊細なピースが散見された。中でも目を引くのは、「枯山水」の曲線刺繍をあしらったチュールトップス。冬を象徴するこの“曲線の美”は、フォルムや切り替え線にも応用され、コレクションに奥ゆかしい雰囲気をもたらしていた。
「春の歓び」を感じさせる撫子色をのせて、四季の物語はフィナーレへ。鮮やかなピンク色のコートには冬を象徴する「冬笹」モチーフを配し、冬が終わって徐々に春へと移ろうその瞬間を1着の衣服の中に込めている。