ドリス ヴァン ノッテン(DRIES VAN NOTEN)の2023年春夏メンズコレクションが発表された。
今シーズンのインスピレーション源になったのは、抑圧された時代に、若者たちが生み出してきたカウンターカルチャーやファッションムーブメント。ドイツ占領下にパリで流行した「ザズー」や、マーガレット・サッチャー政権下の80年代ロンドンでレイ・ペトリが牽引した「バッファロー」から着想を得ている。
たとえば、着丈を長めに設定したダブルブレストのジャケットや、緩やかに丸みを帯びたワイドシルエットのパンツは「ザズー」を彷彿とさせるもの。生地が配給されていた時代に、ファブリックをたっぷりと使うことで反抗心を示した若者たちの姿を投影した。
反権威主義的なムーブメントをモチーフにしつつも、コレクション全体を貫くのは、開放的でエネルギッシュなムードだ。反骨精神をポジティブに変換し、自由で希望に満ちたクリエーションを展開している。
今シーズンを象徴するハイブリッドなスタイリングは、タブーとされてきたファッションコードをミックスし、新しいスタイルを提示した「バッファロー」の精神を受け継いだものだろうか。クラシカルなピンストライプのスーツルックには、センシュアルなスキントーンのコルセット風ピースを差し込んで。モータースポーツのユニフォームを思わせるハニカムモチーフのスウェットには、ウェスタンブーツを合わせるなど、様々なテイストをクロスオーバーさせている。
ミックス&マッチのアプローチは、スタイリングだけでなく、1つのピースからも見て取れる。ウエスタン風のカラーブロックシャツには、エキゾチックなシノワズリーのドラゴンをオン。レオパード柄や“Dries Van Noten”のレタリングを配したファブリックは、パッチワーク風にミックスし、ジャケットやパンツに落とし込んだ。