ジョン ローレンス サリバン(JOHN LAWRENCE SULLIVAN)の2023年春夏コレクションが発表された。
テーラードに向き合うことからコレクション制作をスタートさせ、構造やディテールを更新することで進化を続けてきたジョン ローレンス サリバン。今シーズンもまた、服作りにおける伝統的ルールを再考し、新たな試みに挑戦した。
たとえば、一見シンプルなグレーのテーラードジャケットは、スリーブ部分がリブニット素材になっているのが新鮮。パンツはバックポケットをフロントに移動させ、普通のスーツよりも太いシルエットに仕立てることでカジュアルな印象に仕上げている。他にも、左右の見頃が非対称になったジャケットやボタンを3列取り付けたシャツ、パンツと一体化しているように見える“極長ブーツ”など、ユニークな発想のアイテムが多く登場した。
今季を象徴するのは、“地面のひび割れ”を思わせるパッチワーク仕様のアイテムたち。これらは、ちぎった写真をステッチングでコラージュした作品で知られるドイツ人アーティスト、アネグレット・ソルタウからインスピレーションを受けたものだ。ヴィンテージウェアにも見られるようなレザーセットアップやライダースジャケットのほか、オパール加工でひび割れを表現したカットソー、“くもの巣”のようなニットなどによって、ソルタウの放つ狂気的な感覚を取り込んでいる。
ジップやチェーンのディテール使いにも注目したい。MA-1ジャケットを彷彿とさせるミリタリーパンツは、大胆にジップを走らせて一層クールな雰囲気に。女性らしいアイテムであるバンドゥブラは、重量感のあるチェーンを付けることによって、強気なムードに引き寄せている。
シルエットは極端な印象。極太のトラウザーや短くクロップドさせたボンバージャケット、袖と裾を切り落としてウエストの位置を高く設定したミニマムなジャケットなどがその好例だ。デニムのバギーパンツは、生地分量を誇張してボリューム感を増すことで理想のバランスに近づけたという。