特別展「第74回 正倉院展」が、奈良国立博物館にて、2022年10月29日(土)から11月14日(月)まで開催される。
かつて奈良の東大寺の倉であった正倉院に収納されていた品々、正倉院宝物。「正倉院展」は、約9,000件を数える正倉院宝物のなかから、毎年60件前後を紹介する展覧会だ。74回目となる今回も、例年同様、当時の文化を今に伝える工芸品などが出陳される。
正倉院宝物のなかでもとりわけ由緒あるものとして知られているのが、天平勝宝8歳(756年)6月21日、聖武天皇の四十九日に合わせて、后の光明皇后が東大寺盧舎那仏(るしゃなぶつ)に献納した品々だ。本展ではそのなかから、黒漆地に繊細で華やかな金銀飾りを施した鏡「漆背金銀平脱八角鏡(しっぱいきんぎんへいだつのはっかくきょう)」などの工芸品を紹介。また、名香の誉れ高い「香木全浅香(ぜんせんこう)」も出陳される。
また、聖武天皇と光明皇后の娘・称徳天皇にまつわる「銀壺(ぎんこ)」にも注目。この大型の銀製の壺は、天平神護3年(767)2月4日、称徳天皇が東大寺に行幸した際の大仏への献納品と考えられており、その大きさばかりでなく、表面に細かに施された騎馬人物や鳥獣の線刻文様も特色である。
さらに今回は、奈良時代の装いにまつわる宝物も多数出陳。鳥形の「彩絵水鳥形(さいえのみずどりがた)」など、高貴な身分の人が使用した飾り具には、数cmほどのサイズに精密な細工が施されている。
本展の最後で展示される「錦繡綾絁等雑張(にしきしゅうあやあしぎぬなどざっちょう)」は、かつて屛風に貼り交ぜられていた染織品。江戸時代・天保4年(1833)の正倉院宝庫御開封に際して、古裂の断片を屛風に仕立てたものであり、のちに東大寺屛風と呼ばれるようになる。正倉院における保存整理の先駆的な意義を有するこうした染織品からは、現代に至る宝物伝承の取り組みにふれることができるだろう。
特別展「第74回 正倉院展」
会期:2022年10月29日(土)〜11月14日(月) 会期中無休
会場:奈良国立博物館 東新館・西新館
住所:奈良県奈良市登大路町50
開館時間:9:00〜18:00
※金・土・日曜日、祝日(11月3日)は20:00まで
※入館はいずれも閉館60分前まで
観覧料:一般券 2,000円、高大生券 1,500円、小中生券 500円
※観覧には、前売日時指定券の予約・発券が必要(当日券の販売はなし)
※博物館チケット売り場での販売はなし
※障害者(介護者1名含む)、奈良博プレミアムカード所持者は無料(無料指定券の予約・発券が必要)
※前売日時指定券は、9月26日(月)10:00より、ローソンチケット(Lコード 58885)にて発売(詳細については博物館公式ホームページ、ないし正倉院展公式サイトを参照)
※開催内容は変更となる場合あり
【問い合わせ先】
TEL:050-5542-8600 (ハローダイヤル)