展覧会「青柳菜摘 亡船記」が、青森・十和田市現代美術館のサテライト会場「space」ほかにて、2022年9月17日(土)から12月18日(日)まで開催される。

複数の映像で紡ぐ“架空の航海日誌”

青柳菜摘は、1990年生まれのアーティストだ。自身を取り巻く環境と向き合いつつ、見えない存在を捉えるため、映像や文章を用いた作品を手がけており、近年はクラウドソーシングを用いて他者の物語やイメージを収集するなど、現代における個人の在り方やその観察方法を探っている。

6年ぶりの個展となる「青柳菜摘 亡船記」では、航海によって発展した中国発祥の「媽祖(まそ)信仰」を起点に構想した、架空の航海日誌のような作品を発表。青柳はこれまでに、東京で見つけることのできない虫を探すことで、自身と自然の関係性を探る《孵化日記》や、19世紀ドイツのカレンダーにつけられた市民のための物語を現代に捉え直した《家の友のための暦物語》など、日記や暦に着目して時間芸術としての映像表現を手がけてきた。今回は、航海日誌という新たなテーマのもと、新作の映像インスタレーションを発表する。

船は、かつて遠方へ赴く唯一の、そして命懸けの手段であり、文学においても航海記からSFの宇宙船に至るまで、数多くの作品のモチーフとなっている。本展で青柳は、船の移動によってその信仰が東アジアの広域に拡大した航海の女神・媽祖をはじめ、大航海時代に長い航海での水分補給と健康維持のために発展したとされるカクテルなど、古今東西の船をめぐる要素を織り交ぜたインスタレーションを展開する。

会場となるのは、目［mé］による作品を展示室として活用した「space」をはじめ、美術館内のカフェ、十和田市内の花屋、温泉、バー、そしてスナックの6か所。場所に合わせて展示される作品を巡りつつ、温泉で入浴したり、作品から考案されたカクテルを飲んだりと、その場所ならではの鑑賞体験を楽しむことができる。

展覧会概要

展覧会「青柳菜摘 亡船記」
会期：2022年9月17日(土)〜12月18日(日)
会場：space、十和田市現代美術館 カフェ、愛莉の部屋、Cocktail bar RED DOOR、田島生花店、みちのく温泉
観覧料：無料
※愛莉の部屋、Cocktail bar RED DOORでは、ドリンクの注文が必要
※みちのく温泉では、ロビーに作品を展示するため、入浴料は不要

■会場詳細
・space
住所：青森県十和田市西三番町18-20
開場時間：火〜日曜日 10:00〜17:00
・十和田市現代美術館 カフェ
住所：青森県十和田市西二番町10-9
開場時間：火〜日曜日 9:00〜17:00
・愛莉の部屋(スナック)
住所：青森県十和田市東二番町2-48
開場時間：月〜日曜日 20:00〜25:00
・Cocktail bar RED DOOR(バー)
住所：青森県十和田市東三番町1-47
開場時間：火〜土曜日 19:05〜26:00
・田島生花店
住所：青森県十和田市稲生町18-5
開場時間：月〜土曜日 9:00〜18:30 / 日曜日・祝日 9:00〜16:30
定休日：第1日曜日
・みちのく温泉
住所：青森県十和田市東三番町21-5
開場時間：月〜日曜日 6:00〜22:00
※いずれも通常営業中の店舗のため、事情により臨時休業の場合あり
※展示については、各店舗ではなく十和田市現代美術館へ問い合わせのこと

【問い合わせ先】
十和田市現代美術館
TEL：0176-20-1127