式年造替記念特別展「春日大社 若宮国宝展─祈りの王朝文化─」が、奈良国立博物館 東・西新館にて、2022年12月10日(土)から2023年1月22日(日)まで開催される。
奈良の春日大社本社本殿に祀られる四神の御子神(みこがみ)として、1003年(長保5年)に誕生したと伝えられる春日若宮神は、水徳の神、五穀豊穣の神、そして学問の神として信仰されてきた。春日大社では、20年に一度、社殿を造り替え、神宝や調度品などを新調する「御造替(ごぞうたい)」を行っており、2022年10月には、春日若宮神を祀る若宮神社の本殿(重要文化財)の御造替が完了している。
御造替事業の完成を記念して開催される「春日大社 若宮国宝展─祈りの王朝文化─」では、若宮神にまつわる祈りの文化と、御造替の歴史を紹介。平安貴族が若宮神に奉納した工芸品などから王朝文化の世界を紹介するとともに、過去や現在の御造替にかかわる器物や歴史資料を通して、その軌跡をたどってゆく。
春日若宮神は、1003年(長保5年)3月3日巳刻(午前10時頃)、春日大社本社本殿の第四殿に蛇の姿で顕現したと伝えられている。古来、蛇は水や農業とゆかりが深く、若宮神は水神や農業神の性格を有したとされ、飢饉や疫病が多発する時代において人びとから篤い信仰を集めたと考えられる。また、神仏習合が進んだ鎌倉時代には、智慧にまつわる文殊菩薩と同一視され、多くの作品にその姿が描かれた。第1章では、春日権現の霊験を示す説話をまとめた絵巻物《春日権現験記絵》(国宝)や、春日大社の景観を描いた《春日宮曼荼羅》(重要文化財)などから、若宮神の誕生と信仰の広がりを紹介する。
神宝とは、神のために特別に用意された調度類や武具類をいい、貴族から奉納された品々を含む場合もある。若宮神は、藤原摂関家や鳥羽条項から篤く信仰され、今日「若宮御料古神宝類(わかみやごりょうこしんぽうるい)」(国宝)と呼ばれる古神宝のなかには、藤原忠実・忠通・頼長らをはじめとする摂関家の奉納品が含まれている。第2章では、「若宮御料古神宝類」の金銀細工や刀剣など、平安時代における最高峰の技術を集めた工芸品を目にすることができる。
春日大社では、20年に一度を式年として、神が鎮座する社殿を造り替えて寿ぐ「御造替」を行なってきた。これまでに60回の御造替を実施しており、2016年には本社本殿の御造替が、そして2022年には若宮本殿の御造替が完了している。第3章では、御造替にまつわる記録類や、過去の御造替で撤下された品々から、1,000年以上にわたって継承されてきた伝統と技術に光をあてる。なかでも、若宮神社に安置され、近年撤下された獅子・狛犬像は初の一般公開となる。
若宮神を寿ぐ盛大な祭礼として、毎年12月には「春日若宮おん祭」が開催されている。1136年(保延2年)、当時の関白・藤原忠通によって始められたとされるおん祭では、春日大社と興福寺のあいだに仮の宮を建て、若宮神を招き、古式の神事と神楽、そして舞楽や猿楽などの芸能が奉納される。第4章では、900年近い伝統を誇るおん祭の様子と歴史を、《赤糸威大鎧(竹虎雀飾)》(国宝)や《春日若宮御祭礼絵巻》など、古記録や絵巻から紹介する。
式年造替記念特別展「春日大社 若宮国宝展─祈りの王朝文化─」
会期:2022年12月10日(土)〜2023年1月22日(日)
会場:奈良国立博物館 東・西新館
住所:奈良県奈良市登大路町50
開館時間:9:30〜17:00(入館は閉館30分前まで)
休館日:月曜日(1月2日(月・振替休日)・9日(月・祝)は開館)、年末年始(12月28日(水)〜1月1日(日・祝))、1月10日(火)
観覧料:一般 1,600円(1,400円)、高校・大学生 1,400円(1,200円)、小・中学生 700円(500円)
※( )内は前売料金
※前売券は、2022年10月11日(火)から12月9日(金)まで、イープラス、ローソンチケット、チケットぴあ、CNプレイガイド、楽天チケット、セブンチケッ トにて販売
※本展の観覧券で、西新館にて開催される名品展「珠玉の仏教美術」、なら仏像館・青銅器館の名品展「珠玉の仏たち」および「中国古代青銅器」も観覧可
【問い合わせ先】
TEL:050-5542-8600 (ハローダイヤル)