大阪・関西万博開催記念 特別展「日本、美のるつぼ—異文化交流の軌跡—」が、京都国立博物館にて、2025年4月19日(土)から6月15日(日)まで開催される。
日本の古美術は、古今東西との芸術文化との交流のもと、ダイナミックに展開されてきた。大陸から日本に伝わった技術や製品は、憧れのもとに受け止められ、時に誤解を伴いつつも後世に受け継がれることになった。たとえば、青銅器や仏教美術、水墨画などを挙げることができる。一方、日本では大衆的なものであった浮世絵が海外で評価されるなど、日本美術を代表する作品として世界各地で親しまれてきた例も見出すことができる。
大阪・関西万博開催記念 特別展「日本、美のるつぼ—異文化交流の軌跡—」は、「交流」をテーマに日本の美術を紹介する展覧会。世界に見られた日本美術、世界に見せたかった日本美術、世界と混じり合った日本の美術という視点から、国宝18件、重要文化財53件を含む約200件の作品を公開する。
明治時代の日本が国際社会に登場した頃、ヨーロッパには、以前から輸出されていた伊万里焼や漆器に加えて、日本で使われなくなった古い浮世絵や工芸品が出回り、日本美術のイメージを形成することになった。本展では、海外で日本美術の代表例となった葛飾北斎「富嶽三十六景」の《神奈川沖浪裏》などの浮世絵や、《色紙団扇散蒔絵料紙箱・硯箱》といった精緻な工芸品を紹介する。
明治政府は、日本が「美術」や「歴史」を持つ「文明国」であることを示す必要を感じていた。こうしたなか、1900年のパリ万博では、日本初の西洋式日本美術史をフランス語で編纂。現在の国宝や重要文化財を数多く収録するなど、今に繋がる日本美術史の礎となった。本展では同書に着目し、初期の日本美術における金工の代表例として掲載された重要文化財《突線鈕五式銅鐸》や、鎌倉時代を代表する名品として扱われた《地蔵菩薩像》などを展示する。
また、「琳派」が日本的な美術の典型として認識されるようになったもの、明治時代後半のことであった。もともとヨーロッパで高く評価されていた尾形光琳など、私淑によって連なる琳派の概念の形成は、日本にとって「伝統の創出」でもあった。本展では、光琳が私淑した俵屋宗達による国宝《風神雷神図屏風》を目にすることができる。
政府主導の日本の美術史が、西洋の捉え方に基づいて絵画や彫刻、建築を重視しつつ、日本らしさを強調することを目指したのに対して、実際に日本に伝わってきた美術品の多くは、生活に根ざすとともに、海外との活発な交流のもとに育まれてきた。会場では、朝鮮半島との深い繋がりを示す重要文化財《吉武高木遺跡 3号木棺墓出土品》や、奈良時代の日本でに唐三彩の技術により作られた奈良三彩の代表例《三彩釉骨蔵器》などを公開する。
大阪・関西万博開催記念
特別展「日本、美のるつぼ—異文化交流の軌跡—」
会期:2025年4月19日(土)〜6月15日(日) 会期中に展示替えあり
[主な展示替え 前期 4月19日(土)~5月18日(日) / 後期 5月20日(火)~6月15日(日)]
会場:京都国立博物館 平成知新館
住所:京都府京都市東山区茶屋町527
開館時間:9:00~17:30(金曜日は20:00閉館)
※入館はいずれも閉館30分前まで
休館日:月曜日(5月5日(月・祝)は開館)、5月7日(水)
※観覧料などは、追って展覧会公式サイトにて告知
■限定グッズ
・俵屋宗達の国宝《風神雷神図屏風》展覧会限定フィギュア
※数量・価格は追って公開
【問い合わせ先】
TEL:075-525-2473(テレホンサービス)