1885年、イギリス・ダービーのペアツリーロードにロバート・ブリュースター・ニューボールドが服の工場とショップを開いた。2016年春夏コレクションをもってブランドの展開を終了した。
アールニューボールドはポール・スミスがディレクションを担当するイギリスのメンズファッションブランド。
創業者のニューボールドはユニークな人物で知られ、写真についても当時の最先端技術を持っており、地元では彼が行うランタンのスライドショーが有名だった。その後、パートナーにジョン・ロバート・マリオネットを迎え、需要に応えるために1898年にシャフツベリーワークスという新しい工場を建設。
当時はミシンとアイロン以外は発明されたばかりだったため、ニューボールドのエンジニアリング技術は非常に貴重だった。カッティングテーブル、反物(生地)を巻きつけるロッド、それを機会に取り付けるブラケット、ロッドからテーブルに布を広げる際に押さえておく機械(ハンドル、プレス)等の道具はニューボールドが自身でデザインし、工場内で作られた。この技術をマリオネットに伝え、二人で機会をデザイン・製造していた。
服の販売先はショップの顧客以外にも、近隣の村々の住人にまで広がった。1900年に入ると工場の生産品目も拡大し、炭鉱夫の作業服や軍服、警察・消防・救急隊のユニフォーム等も製造を始めた。また、70年代初めに当時独立したばかりだったイギリス人デザイナーのポール・スミスとも親交を持ち、ポール・スミスのシャツを生産していた。
1990年に倒産の危機に陥った際、ニューボールド社の買収をポール・スミスに依頼。ポールはニューボールドの歴史を綿密に調べ上げ、「真のアイデンティティー」を追求し、今後のブランドの方向性を決定した。そこはポール・スミス社は現代的なデザイン要素を加え、新ニューボールドブランドを3つのカテゴリーにグルーピングした。それは、サービス(軍隊と公共団体、警察、消防、救急のために作られた服)、ワークウェア(20世紀初めに炭鉱婦や港湾労働者、工員などが着ていたような伝統的なイギリスのワークウェアの組み合わせ)、アルチザン(20年代から30年代の作家やアーティスト達が着ていたような、ブリティッシュアルチザンスタイル)。こうして、ニューボールドのスピリッツは現代にも受けつがれている。
2016年春夏コレクションで展開を終了した。