一世を風靡した大女優、藤原千代子は、30年前に銀幕から姿を消し、人里離れた山荘で暮らしていた。そんな中、彼女の元に、時を越えて古びた小さな鍵が届けらる。まるで鍵が記憶の扉を開いたかのように、千代子が語り始めたその物語は、彼女が生きてきた70数年という現実の流れから溢れだすもの。そして、"映画"という幻想の海流を通って、遙か戦国の昔から、見果てぬ未来まで広がっていった。閉まってきた想い出に隠された千代子の秘密とは何か?鍵が開いた空白の時は何を意味するのか?錯綜した記憶の彼方にこそ千代子の真実が浮かび上がる。
国内外で高く評価され、日本を代表するアニメ監督のひとり今敏。『千年女優』は、サイコサスペンスドラマ『パーフェクト ブルー』のスタッフが再集結し、架空の大女優・藤原千代子の女優人生を描いた一代記的な作品だ。『パーフェクトブルー』は人間のネガティブな面に焦点を当てている、一方の『千年女優』はポジティブな面を描いている。