ネイプ(NAPE_)の2023-24年秋冬コレクションが、渋谷・サーカス トウキョウにて発表された。
デザイナー・山下達磨が日常的に考えている、“Interculturalism”がテーマのネイプ。異文化の相互理解や交流は、いまだ誰しもが足りていない要素であり、個々の文化が自立した上で交わるのが理想形だ。今季のコレクションでは、そんな多様性を受け入れる姿勢と自国・日本カルチャーの発信を、ファッションや音楽、ダンスを通じて表現している。
僧侶が奈良・薬師寺のお経を唱え、オリジナル楽曲の演奏開始とともにファーストルックが登場。日本のアニメカルチャーを体現するようなミリタリー調のセットアップは、デザイナー・山下が好む“攻殻機動隊”から着想を得ている。日本を代表するアニメ・マンガ文化を誤解されまいとフラワーマウンテンと共同でアニメーションから製作し、見事に実写化したウェアだ。
機能的なポケットがあしらわれたウェアも散見された。中でもブラック×グレーのスウェットセットアップには、ボア素材の立体的なポケットを、あらゆるパーツに配しているのが印象的だ。またこのスウェットのバイカラーは、“文化の違いにより2つに分かれている世界”を表しているようだが、ショーの中では言語の壁のないダンスを介すことで、隔たりがない世界を描いているようにも感じられる。
砂嵐をかけたようなデジタル風デザインのウェアも登場。とりわけ、色違いのアウター&ハーフパンツを着用した男性モデル2名が抱き合う演出では、多様性を受け入れ、理解し、共存するネイプの強い信念を垣間見た。そのほかラストルックとして、フラワーモチーフに砂嵐をかけたデザインを背面にあしらったロングコートもラインナップした。