ファクトタム / ファクトタム ファム( FACTOTUM / FACTOTUM femme)の2014-15年秋冬コレクションが、2014年3月18日(火)に発表された。テーマは「Night's Dream」。音楽が鳴り響くと、会場に置かれた巨大な本棚が少し回転し、その隙間からモデルが登場、ショーはスタートした。
今回ファクトタムがインスピレーションを受けたのは、童話作家として知られるハンス・クリスチャン・アンデルセンによる『絵のない絵本』という短編集。これは、屋根裏部屋で暮らす街に出てきた貧しい画家が、毎晩月が語ってくれる話に元気づけられるという物語。
そんな夜の世界観を、デザイナーの有働は愛をこめて表現した。ショーの前半は、ルームウェアを軸にしたスタイルを展開。薄手でリラックスしたナイトウェアに落とし込まれたのは、月にハートを重ねたドット柄。手で描かれ、この上ないあたたかみを醸し出している。さらにはペイズリー柄もハート。子供のような星柄も登場した。シンプルなモノトーンのアイテムを中心にした構成だが、柄使いやナイトウェア特有のしなやかな素材感がスタイリングに程よいアクセントを加えている。
後半は着心地にこだわった、旅人のためのウェアを展開。ダークトーンを中心にした前半からは一転、キャメルやベージュ、ライトグレーにビタミンカラーを効かせた、明るくて柔らかなムードが会場を満たす。ローゲージニットやコーデュロイ素材などを用いたタフなアイテムも、クリーミーな色合いで軽やかな印象に。スリッポンやブーツのかかとは、キラキラと光るゴールドで夜空の輝きを表現した。
最後はミッドナイトブルーのナイトウェアを着たモデルたちが登場し、フィナーレを迎えたショー。終了後に有働は、今回注目したアンデルセンとは、旅を好んだことや、夢や愛を伝えようとした部分など、共通する点も多かったと語った。「アンデルセンの時代と今の時代とは違うと思いますが、こんな時代でもシリアスに考えず、ファッションでハッピーにして行けたらと思います」そう言って、幸せそうな笑顔をみせた彼の目は、すでに次のシーズンをしっかりと見据えていた。