「下瀬美術館」が、広島県大竹市に開館。

海辺に佇む「下瀬美術館」

2023年3月に開館した下瀬美術館は、館長の下瀬ゆみ子が、先代の下瀬福衛と下瀬静子から受け継ぎ、形成してきたコレクションを保存・公開する美術館。京都の丸平大木人形店の京人形・雛人形をはじめ、東山魁夷、加山又造、小磯良平といった日本近代絵画、エミール・ガレなどの西洋工芸、マティスやピサロを中心とする西洋絵画などを所蔵する。

「アートの中でアートを観る。」をコンセプトに、国内外の美術工芸品を収集、保存、調査研究に加えて、展覧会等も実施していく。

瀬戸内海に面した立地を利用した建築

瀬戸内海に面する下瀬美術館の建築を手掛けたのは、建築家・坂茂。海岸線と平行に並び建つエントランス棟、企画展示棟、管理棟を全面ガラス張りの渡り廊下で繋いでおり、全ての外壁が「ミラーガラス・スクリーン」で一体化されている。その隣には、季節によってかわるがわる咲き誇る草花を楽しめるエミール・ガレの庭も造園。周りの景色がミラーガラス・スクリーンに映り込むことで、瀬戸内の自然と現代建築が融合したかのような感覚を覚える空間を作り上げた。

“水の浮力”で動く可動式の展示室

特筆すべきは、水盤の上に並ぶカラフルな8棟の可動展示室だろう。建築家の坂茂が海に浮かぶ島々から着想を得て設計したもので、水盤の水位を増すことで浮力で浮き、自由に配置パターンを変更できるのがポイントだ。展覧会の内容に合わせて8種類の配置パターンを用意しており、配置によってブリッジで接続したり、展示室同士を並べたりすることができる。

エミール・ガレの庭

また、アール・ヌーヴォーを代表するフランスの工芸家であり植物学者としても活動した、エミール・ガレにちなんだ庭園「エミール・ガレの庭」にも注目。「エミール・ガレの庭」では、自然をモチーフとしたガレの作品に登場する草花を中心に、瀬戸内の気候に合わせた草花を楽しめる。

オープンを記念した展覧会

オープンを記念して、2023年5月7日(日)まで、開館記念展「おひなさまと近代美術—丸平の人形からガレ、マティスまで」を開催。下瀬ゆみ子のコレクションを初披露する。企画展示室に出現させる大きなひな壇には、京都の大木平蔵による雛人形や雛道具を並べ、“おひなさま”をはじめとする日本の伝統工芸の世界を紹介する。

8つの可動展示室では、部屋ごとに異なるテーマで日本と西洋の近代美術を紹介。エミール・ガレのガラス工芸や加山又造の日本画、マティスらによる西洋絵画など、多彩な作品を展示する。

エミール・ガレの展覧会も開催

また、5月14日(日)から9月24日(日)までは、館内で所蔵するエミール・ガレの作品を公開する「エミール・ガレ —アール・ヌーヴォーの花器と家具」を開催する。

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詳細

下瀬美術館
オープン日：2023年3月1日(水)
開館時間：9:30～17:00(入館は16:30まで)
休館日：月曜日(祝休日の場合は開館)、年末年始、展示替え期間
※2023年5月8日(月)～5月13日(土)は展示替え期間中のため休館
観覧料：一般 1,800円(1,500円)、高大生 900円(800円)、中学生以下 無料
※( )内は20名以上の団体、大竹市民割引
※団体での観覧は事前申し込みが必要
※障がい者手帳所持者およびその介助者(1名まで)は無料
※音声ガイドの利用は無料
※エミール・ガレの庭、望洋テラス(展望台)も観覧可
※特別展の観覧料はその都度定める

■「おひなさまと近代美術—丸平の人形からガレ、マティスまで」
会期：2023年3月1日(水)～5月7日(日)
観覧料：一般 1,800円(1,500円)、高大生 900円(800円)、中学生以下 無料
※( )内は20名以上の団体、大竹市民割引

【問い合わせ先】
下瀬美術館
TEL：0827-94-4000