ファッションにおいて欠かせない要素のひとつに、トレンドカラー、つまり流行色がある。この流行色というものは、実は時代と密接な関わりを持っていて、その時代の空気感を映す鏡とも言えるかもしれない。
2014年3月に、日本流行色協会(JAFCA)が手がけた「日本のファッションカラー100 流行色とトレンド 1945-2013」という書籍が発売された。ここには、1945年から現在にかけての日本の流行色の変化とともに、それが生まれた時代背景やトレンドになったファッションなどがイラストつきで紹介されている。
身の回りの商品の75%はベーシックカラーと呼ばれる白、黒、紺、茶、グレーが占めていて、それ以外のトピックカラーと呼ばれる色はたったの25%しかない。そして流行色というのは、このトピックカラーの中で最も多く見かけるものを指している。一口に流行色と言っても、世の中の色の3〜5%にすぎないのが事実。しかしながら、このほんの数パーセントの色の中には、その時代の背景がぎゅっと凝縮されている。
この「日本のファッションカラー100」は、その変化の流れが一目で分かる構成に。例えば、クリスチャン・ディオールの登場によりアメリカンスタイルからパリモードに変化した1950年頃は、サーモンピンクなどのパステルカラーが登場したこと。バブル経済に浮き足立つ1980年代にはビビッドカラーが流行ったこと。最近では欧米ファストファッションの流入により、ネオンカラーがトレンドとなったことなど。
そして掲載されているファッションやキーワードは、誰もがああとうなずけるような、一世を風靡したものばかり。「太陽族」「竹の子族」といったサブカルチャーから、雑誌から生まれた「ハマトラ」「オリーブ少女」などの流行まで、幅広くトレンドが網羅されている。詳しい説明とともに、時代にそって並べられているので、一目でわかりやすいのも特徴的だ。
コンピューターが普及した今、色はぐっと可能性の幅を広げ、さらなる進化を遂げているという。その一方でよく言われるのが、ファッションは巡るということ。過去の流行を振り返り、時代の流れを理解することは、この先の流行をつかむ手がかりになるかもしれない。ファッション好きなら、一度は目を通して、未来のスタイルに考えを巡らせてみて。
【商品情報】
日本のファッションカラー100 流行色とトレンド 1945-2013
価格:2,800円+税
著者:一般社団法人 日本流行色協会(JAFCA)
発行:ビー・エヌ・エヌ新社