展覧会「注目作家紹介プログラム チャンネル14 吉本直子 いのちをうたう ─ 衣服、痕跡、その祈り」が、兵庫県立美術館にて、2023年10月28日(土)から11月26日(日)まで開催される。
今活躍するアーティストを個展形式で紹介する、兵庫県立美術館の「注目作家紹介プログラム チャンネル」展。第14回となる今回は、衣服に残存する人間の痕跡、記憶に着目した作品を手がける現代美術家、吉本直子(よしもと なおこ)を取り上げる。
1972年兵庫に生まれた吉本は、インドを旅するなかで優れた染織工芸品と出会い、生活と祈りが共存するその世界に感銘を受けている。吉本が作品制作において着目したのは、人々にとってもっとも身近な布である衣服だ。衣服は、人が長く着用するほど、そこに生きた痕跡が残り、単なる布を超えて記憶を留める媒体となる。そこから吉本は、自らが使用した布を用いて、作品を手がけるようになった。
吉本はその後、他者の記憶に強く関心を抱くようになり、他者が着用した衣服、特にその痕跡が色濃く残る白い古着を作品に使用するようになる。たとえば、多量の白いシャツを方形に圧縮し、のりで固めた作品は、あたかも建築物のようでありながら、内側にはシャツの袖の形が残り、それらを着用した人間の痕跡を感じるものとなっている。
また、吉本は近年、オーストラリアのダンスカンパニー「Co3コンテンポラリー・ダンス・オーストラリア」とのコラボレーションのもと、ダンス映像《アーカイブス・オブ・ヒューマニティ》を手がけた。さらに、2020年には、世界各地の人々が、自身の古着を使って鳥をモチーフとした作品を制作するワークショップ「ザ・バードメーカーズ・プロジェクト」を行うなど、活発な活動を展開している。
兵庫県内の美術館で初の個展となる「吉本直子 いのちをうたう ─ 衣服、痕跡、その祈り」では、《本》や《地の残像》、《白の棺》など、吉本の代表作や最新作を紹介。また、会場の天井高7mを超える空間を活かし、数千枚もの古着を用いた立体作品を展示するほか、ダンス映像《アーカイブス・オブ・ヒューマニティ》の上映も行う。
展覧会「注目作家紹介プログラム チャンネル14 吉本直子 いのちをうたう ─ 衣服、痕跡、その祈り」
会期:2023年10月28日(土)〜11月26日(日)
会場:兵庫県立美術館 ギャラリー棟 1F アトリエ1
住所:兵庫県神戸市中央区脇浜海岸通1-1-1(HAT神戸内)
開館時間:10:00〜18:00
休館日:月曜日
観覧料:無料
■《アーカイブス・オブ・ヒューマニティ》上映会
日程:10月28日(土)、11月12日(日)・26日(日)
時間:10:30〜17:30(上映時間約 60分、繰り返し上映)
会場:兵庫県立美術館 ミュージアムホール
参加費:無料
※10月28日(土)13:30〜15:30は、アーティスト・トークのため上映中断
※入退場自由
【問い合わせ先】
兵庫県立美術館
TEL::078-262-1011