工藝美術家・池田晃将の展覧会「虚影蜃光─Shell of Phantom Light」が、金沢21世紀美術館にて、2023年4月8日(土)から9月18日(月・祝)まで開催される。
1987年生まれの池田晃将(いけだ てるまさ)は、螺鈿技法を用いて、データや電気信号といった実体のない対象や、想像上の動物をモチーフとした作品を手がけてきた。伝統的な螺鈿技法を継承しつつも、ICチップ生産に使用されるパルスレーザーや超音波振動機などの現代の技術を組み合わせることで、従来の漆芸や螺鈿作品にはなかった表現を試みている。
展覧会「虚影蜃光─Shell of Phantom Light」は、池田の近作を一堂に紹介する、公立美術館では初となる個展だ。バイ貝といった実在する生物をモチーフに架空の生物を生み出した初期シリーズ「Neoplasia」から、池田を代表する「電光」シリーズまで、約10年にわたる作品を前期・後期合わせて14点を展示する。
科学が発達し、情報化とグローバル化が進んだ現在、情報技術を根底から支える電流やデータは、漫画や映画といった大衆文化を通して世界中に共有されるイメージとなっている。本展では、雨のように降り落ちる数字や、電子回路を彷彿とさせる模様など、大衆文化で共有されたイメージを用い、デジタル世界を螺鈿作品によって具象化した「電光」シリーズを目にすることができる。
池田は2021年より、180年の歴史を持つ京都のファブリックメーカー「川島織物セルコン」とコラボレートし、螺鈿を用いた帯のシリーズを手がけている。会場では、同シリーズから《八重霞》を展示。螺鈿を施した箔を糸状に裁断し、絹とともに織りあげた超絶技巧の作品を、その制作風景の記録映像とともに紹介する。
池田は初期の「Neoplasia」シリーズにおいて、タカラガイを型取って乾漆作品にしたり、バイ貝に長い水管溝を生えさせたりと、実際に存在する生き物をベースに、架空の造形を生み出した。本展では、初期から池田の作品に底流する、想像力の源泉に着目し、池田が所蔵する生物や鉱物の標本に加えて、影響を受けたという玩具や書籍も展示する。
展覧会「虚影蜃光─Shell of Phantom Light」
会期:2023年4月8日(土)〜9月18日(月・祝)
会場:金沢21世紀美術館 デザインギャラリー
住所:石川県金沢市広坂1-2-1
開場時間:10:00〜18:00(金・土曜日は20:00まで)
休場日:月曜日(7月17日(月・祝)、9月18日(月・祝)は開場)、5月14日(日)、7月18日(火)
観覧料:無料
【問い合わせ先】
金沢21世紀美術館
TEL:076-220-2800