滋賀県立美術館では、開館40周年を記念した展覧会「生誕100年記念 人間国宝 志村ふくみ展 色と言葉のつむぎおり」を、2024年10月8日(火)から11月17日(日)まで開催する。
紬織の人間国宝である染織家、志村ふくみ。1924年滋賀に生まれた志村は、30代の頃、かつて民藝運動に携わった実母の影響で染織家を志し、植物染料による染めと、節のある絹糸「紬糸」を使った紬織に出会うことになる。そして、特定の師を持つことなく、素朴ながらも独自の信念に裏打ちされた作品を手がけていったのであった。
志村は1968年、工房を京都・嵯峨に移している。こうしたなか、多くの交流や旅などを通して志村の視野は一気に広がり、やがて生命力あふれる色彩、文学や哲学などへの探究に培われた作風が評価され、1990年にはいわゆる人間国宝に認定されることになった。また、嵯峨の地には歴史ある古寺が点在することを背景に、紫式部の『源氏物語』をテーマとした作品をライフワークとして制作している。
「生誕100年記念 人間国宝 志村ふくみ展 色と言葉のつむぎおり」は、初期から近年まで、志村の足跡を紹介する展覧会。日本国内屈指の規模を誇る、滋賀県立美術館収蔵の志村ふくみ作品に加えて、各地の作品や志村ゆかりの資料など、80件以上を一堂に集めて展示する。
本展には、ライフワークである「源氏物語シリーズ」に加えて、故郷・滋賀にまつわる作品も。「琵琶湖は私にとって単なる風景ではない。肉親や愛する人などの終焉の地であり、鎮魂の思いのする湖、いわば私の原風景というべきところである」という言葉を綴っているように、志村にとって滋賀とは、自らの原風景とでもいうべき地であった。会場では、《湖上夕照》、《湖北残雪(白・紺)》、《光の湖》、《冬の湖》など、滋賀への思いが込められた作品を全国から集めて公開する。
また、志村の随筆家としての側面にも着目。1982年の『一色一生』を皮切りに、志村はこれまでに20冊以上の著作を刊行してきた。本展では、染織作品や故郷、仕事への思いを語るさまざまな言葉にも光をあてる。
滋賀県立美術館開館40周年記念「生誕100年記念 人間国宝 志村ふくみ展 色と言葉のつむぎおり」
会期:2024年10月8日(火)〜11月17日(日) 会期中に展示替えあり
[前期 10月8日(火)〜27日(日) / 後期 10月29日(火)〜11月17日(日)]
会場:滋賀県立美術館 展示室3
住所:滋賀県大津市瀬田南大萱町1740-1
開館時間:9:30〜17:00(入場は16:30まで)
休館日:月曜日(祝休日の場合には開館し、翌日火曜日に休館)
観覧料:一般 1,200円(1,000円)、高校・大学生 800円(600円)、小・中学生 600円(450円)、未就学児 無料
※キャッシュレス端末導入予定
※( )内は20名以上の団体料金
※身体障害者手帳、精神障害者保健福祉手帳、療育手帳の所持者は無料
※同時開催の常設展も観覧可
【問い合わせ先】
滋賀県立美術館
TEL:077-543-2111