特別展「異文化は共鳴するのか? 大原コレクションでひらく近代への扉」が、岡山・倉敷の大原美術館にて、2024年4月23日(火)から9月23日(月・振)まで開催される。
大原美術館は、西洋や日本の近代美術を中心に、現代美術、民藝運動ゆかりの作家の作品などを収蔵している。そのコレクションの起点となったのが、近代日本の実業家・大原孫三郎の支援のもと、洋画家・児島虎次郎(こじま とらじろう)が収集した、近代を軸とする西洋美術作品であった。
特別展「異文化は共鳴するのか? 大原コレクションでひらく近代への扉」は、大原美術館のコレクションの中核をなす、近代美術に光をあてる展覧会。近代美術の大きな特質とは、異文化の混交であるという視点のもと、クロード・モネやオーギュスト・ロダン、岸田劉生、児島虎次郎などの作品を紹介する。
多文化の混交という視点からまず紹介するのが、洋画家の児島虎次郎だ。3度にわたって渡欧を果たした児島は、モネの《睡蓮》をはじめ、西洋の近代絵画を日本にもたらすばかりでなく、オリエントやイスラムの古美術を数多く収集している。世界各地でふれた芸術や文化を「もの」として持ち帰り、自身の創作に反映させた児島にとって、異文化とは他者であると同時に、創作を触発する自己の重要な一部であったといえる。本展の序盤では、《初秋》といった児島の絵画や資料とともに、その足跡をたどってゆく。
大原美術館のコレクションの核である西洋と日本の近代美術は、歴史的に密接な関係を持つ一方、それぞれに固有の文化を背負うものでもある。本展では、「他文化」や「裸体」、「宗教・信仰」などのテーマのもと、西洋と日本の近代美術を比較。両者の関係性や異質性を、近代における文化の交差という視点から捉え直す。
大原美術館が擁する、民藝運動ゆかりの作家による作品にも、文化交流の跡を認めることができる。たとえば、「民藝」を提唱した柳宗悦(やなぎ むねよし)は、文学ばかりでなく西洋美術の紹介にも大きな役割を果たした文芸誌『白樺』の同人でもあった。大原美術館が永久寄託を受けているオーギュスト・ロダンの彫刻は、『白樺』の同人とロダンの交流を背景に、日本にもたらされたものである。会場の後半では、『白樺』ゆかりの西洋美術作品や民藝運動ゆかりの作家による作品に加えて、『白樺』と民藝運動の繋がりを示す資料を展示し、それぞれの動きの異文化に対する関心や連続性に光をあててゆく。
特別展「異文化は共鳴するのか? 大原コレクションでひらく近代への扉」
会期:2024年4月23日(火)〜9月23日(月・振)
会場:大原美術館 本館
住所:岡山県倉敷市中央1-1-15
開館時間:9:00〜17:00(入館は16:30まで)
休館日:月曜日(祝日、7月下旬〜8月は開館)
入館料:一般 2,000円、小学・中学・高校生(18歳未満) 500円、小学生未満 無料
※本館、工芸・東洋館の共通料金
【問い合わせ先】
大原美術館
TEL:086-422-0005