『ブルーピリオド』で注目してほしいシーンやポイントを教えてください。
眞栄田:『ブルーピリオド』は、八虎がどんどん変化していく物語なんですけど、同時にユカちゃんや世田介との関係性も変化していくんです。特に、ユカちゃんと初めて予備校に行った帰り道のシーンは、高橋さんと共に凄く良い雰囲気が作れたなと思います。2人の距離がグっと縮まった空気感や表現がしっかり出来たなと現場で感じて、出来上がった映像を見ても感じたので、あそこの2人のシーンは好きですね。
板垣:八虎と世田介の距離感です。原作だと予備校の段階で一緒に外に出たりとか、ちょっとした近さを感じるんですけど、映画だとその場面がなかったりするので、本当に絶妙な距離感だな~と思いながら脚本を読んでいたし、芝居をしていました。撮影も、郷敦さんとプライベートな話をあまりしないまま進めていったので、そういった空気感が出せたのかなと思っています。
天才的な世田介を演じるなかで、意識したことはありますか?
板垣:世田介というキャラクターを映像化するうえで、いかにリアリティを持たせられるかが自分の課題でした。撮影前に行っていた絵画練習の時から、原作での世田介の特徴的な筆の持ち方だったり、描く姿勢だったりを意識していました。
クランクインの前から、実際に絵画練習をなさってたんですよね。
眞栄田:合同練習では、監督が「自分の役がどういう姿勢で、どういう画材の使い方をしているのか意識しながらやってみて」とおっしゃっていたので、みんなそれぞれの役に入っていたと思います。板垣さんは僕の右隣に座っていたのですが、その時から世田介の天才的な雰囲気があって、八虎はこういう気持ちなんだろうなとイメージができました。
役としてではなく、板垣さんご本人の印象はいかがでしたか?
眞栄田:板垣さんには、僕にはないモノの見方や、芸術センスを感じます。僕はまだその部分について掘り下げられていないのですが、きっと感性が他の人と違うんだろうなって思いますね。
最後になりますが、映画『ブルーピリオド』が持つ最大の魅力をお聞かせください。
眞栄田:好きな事に人生の一番のウェイトを置く事の美しさや苦しさを凄く感じる作品になっていると思います。好きな事もそうですけど、自分にとっての幸せは何なのか、そういうことを改めて考え直せる作品なんじゃないかなと思うので、幅広い方々に観ていただきたいですね。
高橋:「情熱は、武器だ。」という言葉が本当に似合う作品だと思います。夢に向かう瞬間って、味方が少ないと思うんです。自分を信じてあげられなくて、自分自身が敵になってしまうこともあるかもしれない。恐らく色々な人が経験したその感覚のなかで、八虎が向かい風に負けることなく走り抜けて、「情熱」を武器に戦い続ける『ブルーピリオド』という作品は、どんな方にも観ていただけると思います。自分がどういう立ち位置にいても、心のわだかまりが解けると思うので、ぜひ劇場で楽しんでいただけたら嬉しいです。
板垣:この映画『ブルーピリオド』という作品を作っている人たちの情熱も本当に凄いんですよね。キャストの皆さんも絵画練習をかなり前から始めていましたし、監督だけじゃなくスタッフの皆さんも、膨大な美術の知識を頭に入れていました。毎秒毎秒、色んな方が命を燃やして撮った作品ですので、絶対、様々な方に刺さると思います。何か決断なり将来なり、人生を迷っている方にとって、ひとつの大きな道しるべになって欲しいと思います。
【作品詳細】
映画『ブルーピリオド』
公開日:2024年8月9日(金)
監督:萩原健太郎
脚本:吉田玲子
出演者:眞栄田郷敦、高橋文哉、板垣李光人、桜田ひより
音楽:小島裕規“Yaffle”
原作:山口つばさ『ブルーピリオド』(講談社「月刊アフタヌーン」連載)