漫画「【推しの子】」が2024年11月28日(木)よりドラマシリーズとして放送、その続編となる映画『【推しの子】』が12月20日(金)に公開される。アイドルグループ「B小町」メンバーを演じた齊藤なぎさ、原菜乃華、あのにインタビュー。
2020年に『週刊ヤングジャンプ』にて、赤坂アカと横槍メンゴの共同名義で連載を開始した「【推しの子】」。産婦人科医・ゴローの前に、"推し"のアイドル「B小町」のアイが現れるところから物語が始まり、伝説的アイドル・アイの“推しの子”として転生するファンタジックな設定、ショッキングな描写もいとわないサスペンス要素、そして“芸能界”を新たな切り口から描く斬新なストーリーで人気を博している。
そんな「【推しの子】」のドラマ&映画化に際しては、東映とAmazonがタッグを組み、ドラマシリーズをPrime Videoにて11月28日(木)21時より、プライム会員向けに配信、その続きとなる映画『【推しの子】-The Final Act-』を東映が12月20日(金)より劇場公開する。原作と同様に、なぜアイは殺されたのか、アイに隠された秘密とは何か、予測不能な挑戦的なストーリーと、ハイクオリティな映像と共に描かれる。
ドラマシリーズ配信と映画公開に先駆け、アイドルグループ「B小町」のメンバー、ルビー役を演じた齊藤なぎさ・かな役を演じた原菜乃華・MEMちょ役を演じたあのの3名にインタビューを実施。作品への率直な思い、映画にちなみ3名から見た芸能界のリアル、芸能界を生き抜くための心得など、貴重な話を伺った。
「【推しの子】」の代表的なセリフに、「嘘はとびきりの愛」「この芸能界において嘘は武器だ」とあります。みなさんにとって、ついていい嘘・ついてはならない嘘とはなんでしょう?
齊藤:私、嘘をつかないタイプなんです。割と裏表がないタイプ。自分の感情にも嘘つかないし、“好き”だと思ったら好きと言うし、自分の感情を結構表に出すし…。なるべく嘘はつきたくないですが、“人を守るための嘘”だったらいいのかなと思います。ただ、人を傷つける嘘は絶対にダメ。
あの:本当にそう。
原:全く同意見です。人に迷惑をかけてしまわないか、というのも大事ですよね。線引きはすべきだと思います。
では、「この嘘ついてよかった!」というものはありますか?
原:私、あります。オーディションとかで、「ギターできますか?ピアノできますか?歌うたえますか?」とか聞かれると、「全部できます!」と答えていました(笑)。本当は何もできないのに、一瞬でもギターを触ったことがあればできるカウントにしていました。できませんと言って落ちるより、オーディションに受かった後に死に物狂いで練習して、本当のことにすれば嘘じゃないというマインドで挑んでました。後々自分の首を絞めることにはなりますが…(笑)。
あの:ぼくもその経験あります。ぼくは、自己PRが一切なくて、正直なところできることが何もないんです。なので、応募書類の自己PR欄は大体空欄になりがちなのですが、さすがに何かしら書かなきゃいけないということで、「パフェの早食いができる」と書きました。
齊藤・原:(大爆笑)
あの:できないのに書いてしまって、そしたらバラエティー番組でやることになってしまい…。焦りながらやったら案外、一緒に早食いをした共演者の方がすごく面白くやってくださったので、なんとかなりました。嘘はついちゃいけないけど、結果的によかったか、と安心できたことがありました。
実際に、芸能界を生き抜くために必要な武器とはなんだと思いますか?
齊藤:根性ですね。
原:大事。スポ根だけど。
齊藤:これに限ると思います。肝が据わってると、なんでも乗り越えられるなと思います。実際、芸能活動は体力がないとやっていけないですし、常に見られているのでそれこそ色々な意見を頂くこともあります。そこを乗り切るためには、やっぱり根性と努力だなと思いますね。
あの:肝が据わっているかどうかは本当に大事だと思います。あとは、ぶれないこと。意思を強く持って、自分さえしっかり前を向いていれば、自ずとステージングにも出ると思います。
原:少し違うところでいうと、切り替え力かな…。私は結構ネガティブなので、ガクッと落ち込んでしまうのですが、落ち込み続けていてもキリがないので、いくら泣いて凹んだとしても、“良い反省”をしようと心がけています。次失敗しないためにはどうすればいいのか、今でも全然できていないですが、良い反省をして切り替えられるよう意識しています。
『【推しの子】』では芸能界について様々な言及をしています。実際に芸能界を生きる皆さんだからこそ思う、作中のリアルだなと感じた点、もしくは皆さんの思う「芸能界あるある」を教えてください。
齊藤:私が一番リアルだなと思ったのは、誹謗中傷について。作中のSNSや掲示板に書かれている内容がリアルすぎて怖かったです。あとは、目立つドラマや番組に出演すると、誹謗中傷の声も大きくなる。表に見える部分や演出を見て、信じてしまい誹謗中傷するところも全くその通りすぎて…。作中でもアクアやMEMちょが分かりやすく解説してくれてるので、これを機に誹謗中傷が少しでも無くなるといいなと思います。あとはエゴサしちゃうのも、あるあるですよね。
あの:ぼくは、アイドルの楽屋裏とか、ごちゃごちゃとしてて歩く道が全くないところがあるあるだと思いました。売れていくとちょっとずつ楽屋が広くなっていくところも。その再現度もすごくリアルで、なんだか懐かしい気持ちになりました(笑)。
齊藤:わかる~懐かしかった~。
原さんはいかがですか?
原:芸能人が芸能科のある高校に通っていてばったり会う、というのはあるある、というか実体験でした(笑)。私が演じるかなと、ルビー、アクアが通ってる学校が同じでしたが、実はなぎさちゃんと高校が同じだったんです。全く違うクラスだったのと、行事もほぼ出ていなかったので顔を合わせることはありませんでしたが。なんと受験番号が隣でした(笑)。
齊藤:そう!すっごくかわいい子がいるって評判だったんですよ。菜乃華ちゃんがいるっていうのはもう校内でも一番話題で、陰ながら「ええ~いる~かわいい~!」と思ってました。
原:私もなぎさちゃんがいるの知ってたので、やばい!ってなってました。お互いになってたんですね(笑)。
おもしろい縁ですね…!それでは「あるある」に続いて、作中で共感できたセリフやシーンはありましたか?
原:原作「【推しの子】」の『今日は甘口で』の現場を映したシーンです。「こんな前も後ろも真っ暗闇な世界で一緒にもがいてた奴が居たんだって分かって、それだけで十分」という言葉がなんだか、自分に向けて言ってもらえたかのように、優しく刺さりました。分かったような口をきくわけでもなく、今までのすべてを肯定してくれるような温かいセリフだなと思って、泣きそうになりました。
あとは、かなちゃんがアクアに向けて、「ずっと努力してきた人の演技って感じがして、私は好き」「細かいテクが親切で丁寧で」というようなセリフを言うシーン。1つの作品を一緒につくり上げる仲間として、同じ痛みを味わったことがあるからこそ出るセリフだと思うのですが、私自身も役者だからこそ共感できたセリフだったなと思います。