マーカス コビントン(MARCUS COVINGTON)の2025年春夏コレクションが、楽天ファッション・ウィーク東京期間中の2024年9月4日(水)に発表された。
2024年4月に誕生したマーカス コビントンは、市川マーカス知利がデザイナーを務めるファッションブランドだ。コンセプトは、“粋な目立ちたがり屋“。黒人と日本のハーフというルーツを持つ市川は、幼少より、時に意図しない目立ち方をして傷つく経験もあったという。しかし、目立つことはコンプレックスではなく、「とはいえ目立ちたい」と語る市川。ブランドコンセプトには、目立つなら自由に楽しく、力強く上品に、という彼の想いが込められている。
初のランウェイショーとなった今季のテーマは、「スマッシュ(SMASH)!!!!」。母親代わりだった祖母の死を経験した市川は、自身の悲しい気持ちを力強いデザインに変え、全てのルックが“一撃必殺”となるようなコレクションを構成した。
最も目を引くのは、多彩なカラーをミックスした切り替えデザインだ。ワードローブの多くは、イエローとブルー、オレンジとグリーンといったコントラストを効かせたカラーで展開。ジャケットは、身頃やフロントの一部、襟元や胸ポケットのフラップなどにベースとは異なる色彩を添え、プレイフルなルックに仕上げた。
多用されたのは、光沢感のあるしなやかなテキスタイル。たっぷりと分量をもたせたメタリック生地はモデルの動きに合わせてなびき、目を奪うような煌めきを放っていた。
また、ホワイトやブラックの繊細なレース使いも特徴的。ゆったりとしたシルエットでストリート感の漂うジャケットやパンツに合わせられた。至るウェアで見られた切り替えは、単に目立つことを優先するのではなく、異素材の足し引きによって新たな表情を引き出している。
光沢素材やレースといった上品な質感を採用する一方で、ラフな抜け感要素を取り入れていたのも印象的だ。ジャケットやハーフパンツの裾には、切りっぱなしのディテールをあえて残し、カジュアルなムードをプラス。また、ロングジャケットの後ろ身頃には一部シアー素材が用いられるなど、春夏らしい軽やかな魅力が添えられていた。