モスキーノ(MOSCHINO)の2025年春夏コレクションが、イタリア・ミラノにて発表された。
無数の布が垂れさがる会場にて発表された、クリエイティブ・ディレクター エードリアン・アピオラッザによる2025年春夏コレクション。多くのジャンルを持つファッションは、互いに影響し反映し合い、文化やサブカルチャーを形成する。個性を表す手段としても用いられるファッションは、日常に欠かせないものである。こうした背景をもとに、今季は日常的で身近な家庭用品などに目を向け、“服で遊ぶ”かのようなコレクションを展開した。
ファーストルックより立て続けに登場するのは、まるで真っ白なシーツをそのまま巻き付け、ドッキングしたかのようなドレスたち。大きなシーツを体に巻き付けて、胸元できゅっと縛りあげたドレス、アシンメトリーなシルエットが特徴的なトレンチコートが登場した。トレンチコートは、真っ白なシーツとの親和性も高い洗濯用洗剤を手に持たせ、遊び心を演出した。
真っ白なシーツをキャンバスに見立て、ボールペンで落書きしたかのようなルックも散見された。目を惹くのは、ブルーのインクで描かれた漫画家エルジー・クリスラー・シーガーによる「ポパイ(POPEYE)」のイラスト。水平や船乗りとして描かれるポパイの服装を表したセーラーカラーと、彼の恋人オリーブ・オイルが描かれている。このほかにも、大海原を旅する船、トレンチコートをそのまま布に描き出したルックが展開された。いずれもボールペン画らしい陰影や細かいタッチが印象的だ。
テーラリングは、サイズを見直して解体しているのが特徴。タイトなシースドレスは、フラワープリントが施されたシルクのハウスコートと合体させ、前後で異なるシルエットに仕上げた。
ウェアにあしらわれたウィットに富んだ言葉遊びにも注目。1980年創刊のイギリスの雑誌「i-D」の創設者で、アートディレクター兼編集者のテリー・ジョーンズの協力のもと、皮肉の効いた文字がウェアの上で踊る。テーラードジャケットには、「調子はどう!?」としつこく問いかけるように「What’s Up!」の文字を総柄であしらった。また、シェイクスピアの名言「先に行くか、やめるか、それが問題だ(To be, or not to be)」に由来する「TUBINO OR NOT TUBINO」のプリントを配した、シンプルがゆえに言葉が響くドレスも登場した。
モスキーノのアイコニックなデザインは、ユニークに解釈されてコレクションを彩る。ドレスには身体そのものを彩るかのようにポルカドットを総柄でプラス。また、ブランドを象徴するスマイリーフェイスを連ねたベルト、創業者フランコ・モスキーノが好んだパールをパンキッシュに表現したハーネスなどを見ることができる。