ヴァレンティノ(VALENTINO)の2025年春夏コレクション「パヴィヨン デ フォリ(Pavillon des Folies)」が発表された。
限られた命を生きる人間は、脆く儚いものだ。だからこそ、2022年までグッチ(GUCCI)を率いていたアレッサンドロ・ミケーレをクリエイティブディレクターに迎えたヴァレンティノは、幻想的で魅惑的な力を持つ“美”に着目する。脆く不安定な存在と対置される“美”は、人生に安らぎをもたらしてくれるのだ。
ランウェイに登場するのは、一目で具体的な印象を突きつけてくるような、イメージの輪郭が確立されたルックの数々。テーラードジャケットにスラックスを合わせたフォーマルなスタイルや、ゴージャスなドレスを軸としたスタイルなどに、華々しいデコレーションを盛り込むことで、わたしたちの感覚を呼び起こすような壮観な“美”の世界を繰り広げる。
ブルーのオフショルダードレスやパープルのショートドレスには、魅惑的なラッフルをふんだんに採用。さらに、ドット柄のジャケットのフロントに配した視線を引き付けるようなリボン、輝くビジューをあしらったグリーンのドレスや、その袖元や裾に表情の豊かさをプラスするファーなど、それぞれのピースあるいはルックを密にデコレートしていく。これらのディテールによって、ミケーレが展開する“美”の世界をより一層際立たせている。
コレクションを通して多用される柄も同様。ピンクのトップスにボタニカル柄のスカートを合わせたスタイルや、全身をドット柄で覆うテーラードのセットアップなど、装飾的なパターンで覆うことにより、“美”の世界を加速させる。
中には、大きな羽根のディテールが付いたハットや、大ぶりなペンダント、どこかエスニックなムードが漂うフリンジ付きのバッグなどを携えたルックも登場。端々にまで装飾を凝らすというミケーレのエッセンスが詰め込まれたコレクションを構築した。