2014年10月18日(土)、タロウ ホリウチ(TARO HORIUCHI)が渋谷ヒカリエにて2015年春夏コレクションを発表。ショー形式での開催は初となる。
ベルギー・アントワープで活動するアーティスト、パナマレンコが生涯情熱と妄想を注ぎ作り続けた、飛べないUFO的飛行物体の作品群をメインインスピレーションとした今シーズン。「パナマレンコは元々好きなアーティストでした。彼の一番面白いのは、空を飛ぶとか宇宙的なものとかに永遠に憧れ続けて、飛べないUFOや飛行機を手作りで生涯作り続けていたところ。今回は、彼の作品に出てくるような窓みたいなドットにマットな素材を合わせて、フューチャリスティックなものとまったく真逆にあるものを混ぜ込むという組合せを楽しみました。また全く着れない服には興味はないので、そことの境界線を意識しながら作っていきました」と、デザイナー堀内太郎は話す。
会場には女優、忽那汐里も足を運んだ。薄暗い部屋では、中央に設置された大きなブラックボックスに取り付けられた蛍光灯で未来的な空間を演出。オープニングは、その蛍光灯が音に連動して光り、怪しげな空気が漂う。そんな空間に足を踏み入れたのは、ホワイトのロングドレスを着たモデルだ。ドレスに見られる黒いライン、シャープなスリットは、未来的な雰囲気を感じさせる。また格子のような編み目のニットやプリーツのなされた袴のようなワンピースなどにも、同様のシャープなラインが見られ、線で遊ぶ装いを提案した。一方、直線的なラインを強調するかのように、首や足には、まっすぐではない不規則な一本のラインが対比的に描かれていた。
白、黒といった色の連なりを抜け、服は徐々に色味を帯びてくる。ライトブルーやオレンジ、イエロー、レッドなど、先シーズンに引き続き美しい色彩を取り入れたり、ボタニカルなプリントがなされたりと、未来から徐々に現実に近づいてきたような印象が感じられた。
ファブリックにも注目したい。オーロラのように光るものや少し透け感のある素材は、ドレープがかかったワンピースやスカートなどに贅沢に使用された。中でも、もともとテーラードなどに使うマニッシュなシャツ地に、パンチングの道具を使って開けたという丸い穴の開いた素材は、コレクションピースの随所に取り入れられた。
バッグやジュエリーといった小物では、2015年スプリングシーズンに引き続き様々なブランドとのコラボレーションアイテムが見られた。フラップ部分が取り外し可能でデザインを自分流にアップデートすることができるニューニュー(newneu.)のバッグや、シュン オオクボ(SHUN OKUBO)とのジュエリーなどが装いに加わった。
文明が凄まじいスピードで発達していく中で、未来や宇宙にあこがれたパナマレンコの世界観を、リアルクローズに落とし込んだ今季。未来へワープしたかのような余韻を会場に残し、ショーを締めくくった。