ハイジュエリー受注イベント「カルティエ ロワイヤル」
開催を記念して
カルティエレッドにライトアップされた
京都国立博物館明治古都館(重要文化財)
カルティエ(Cartier)は、約400点のハイジュエリーを集めた、顧客向け受注イベント「カルティエ ロワイヤル(Cartier ROYAL)」を開催する。会期は、2015年6月2日(火)から7日(日)までの6日間。
日本国内のみならず世界中から特別な顧客を招待しての受注会は、日本では初めての試み。また6月7日(日)の1日限り、一般公募から選ばれた30組60名が招待される。そんな稀有なイベントの会場として選ばれたのは、古都・京都にある京都国立博物館 明治古都館だ。
「カルティエ ロワイヤル」の核となる
壮麗なマスターピースの展示
ハイジュエリーには、いくつかの定義がある。まず価格が、3,000万円以上のものであること。今回展示されるのは、5,000万円から1億円のジュエリーが中心で、中には、それ以上に高価なものも揃う。
そして、貴石を含む厳選された石を使用していること。カルティエは特に石選びを重要視し、原産地にこだわりを持っている。また、168年の歴史を持つメゾンの職人たちが手掛けていることも大切な要素である。本店のアトリエには、60人の職人が在職。しかし、その他のアトリエに関しては、職人の数は公開していないという事実も興味深い。
古代エジプトで知恵の象徴であった“トキ”がモチーフ
47.38カラットのオパールの上に佇む姿は
メゾンの豊かなイマジネーションを感じさせる
そして最も重要なのは、芸術的テーマに添ったアート作品であること。ほとんどのジュエリーは、石から得たインスピレーションをもとにデザインされている。宝石が持つ力や色、輝きといった個性を活かし、アートピースのような非常に価値の高い作品へと昇華させている。
そんなハイジュエリーは、現代人のみならず、古くから多くの人々を魅了してきた。“王の宝石商”という名を得た起点は、20世紀初頭まで遡る。これまで自国のアイテムを愛用してきた、イギリス王室がフレンチブランド・カルティエに「王室御用達(英国では、ロワイヤルワラントと呼ぶ)」を授けた。これは非常に珍しい出来事であったが、その後ヨーロッパ各国またアジアにも波及し、現在では16か国の王室が「王室御用達ブランド」としてカルティエを指名している。
左) センターに15.29カラットのルビーを配した、
クチュールの世界にインスパイアされたドレープネックレス
右) ペアシェイプ「アブソルートピュアダイヤモンド」を
使用したネックレス
ダイヤモンドは取り外すことができ、
リングとしても使用できる2WAYデザイン
幾何学模様を得意とするメゾンは、線対称に分かれた美しいデザインを提案。1925年のアール・デコ博覧会とも呼ばれるパリ万国博覧会よりも前に、カルティエはこの幾何学模様を生み出し、アール・デコのパイオニアとも呼ばれる作品を数多く手掛けている。
ブルーやグリーンといった寒色のカラーが、ジュエリーデザインとして積極的に取り入れられていなかった時代に、メゾンはサファイアやエメラルドの美しさに注目。また、コーラルなどの珍しい色使いも前衛的なものだった。
インドや中国などから影響を受け、エキゾチックなデザインも多く生み出している。中には、日本の帯からアイデアを得たジュエリーも。メゾンの発明品と呼ばれる腕時計も、ラピスラズリを用いたアジア向けの商品が製作されている。また、南アフリカやイスラム文化からもアイデアを得て、ボリューム感と多彩なカラーが特徴のアイテムを誕生させた。
中央に配したエメラルドをパンテールが
探しているようにも、守っているようにも見えるネックレス
小さなピースを組み合わせ、
豊かな毛並みと繊細な斑点模様を描いている
アイコニックなパンテールやトラ、蛇、トキなど、野生の動物や爬虫類、鳥類をデザインに落とし込むのも得意としている。大きなエメラルドを探しているようにも、守っているようにも見えるクロコダイルのネックレスは、中でも極上の一品である。
4つのテーマに分けて、特徴を挙げたが、どのテーマにも共通しているのは“動きのあるデザイン”であること。水の流れや雨の滴り、生物のなめらかな動きなどは、“空間”を活かした職人のつなぎ合わせから生まれる。小さなピースをプラチナやプラチナ糸を用いてつなぎ合わせた、表情豊かなジュエリーは、まさにクラフツマンシップの賜物であるといえる。
本展では、ハイジュエリー約340点に加え、ウォッチ約40点、過去のアーカイブを修復した「カルティエ トラディション」約50点が一堂に集う。