「CHICCA(キッカ)」が、口紅でもリップライナーでもない、新しい形のリップカラー「メスメリック リップラインスティック」を完成させた。太さは、従来のリップクレヨンとリップライナーの中間くらい。角のないスクエアなフォルムは、色エンピツを想起させる。
唇を染めるのではなく、内側からにじみ出てくるような自然な血色感。発色のよさや輝きを重視したリップアイテムとは一線を引き、あえて唇を“ドレスダウン”させるという新しい発想から生まれた。
この新作「メスメリック リップラインスティック」を生み出したのは、「CHICCA」のブランドクリエイターを務める吉川康雄。世界各国の『VOGUE』のカバーやファッションページの撮影を手掛ける、トップメイクアップアーティストだ。現在は、ニューヨークに拠点をおき、雑誌・広告だけでなく、ヒラリー・クリントンやカトリーヌ・ドヌーヴなど名だたるセレブリティのメイクアップ、書籍の執筆など、その活動は多岐にわたる。2015年秋には、新刊『褒められて嬉しくなる キレイの引き出し方』を発売予定だ。
ファッションプレスは、「CHICCA」のブランドクリエイターであり、世界で活躍するメイクアップアーティストの吉川に、現在の活動内容や美意識について話を聞いた。
くだらない理由はたくさんあるんですけど、最近の言葉で言わせてもらうと、たぶん自分に向いていたんだと思います。
小さい頃は、何の考えもなく、普通に学校に行こうと思っていました。勉強が好きだった時期もあって、結構集中するので、そのときはとてもよかったんだけど、「なんで勉強するんだろう?」って思った瞬間に嫌いになっちゃったんですよね。なんか向いてないなって思って。
僕は自由だから、決まり事がある場所に入るとだめ。そういうものがあると守れないんです。自由に生活できて、物事を考えられるようなことが必要だったのかな。当時は、それにも気付かなかったんですけどね。
「CHICCA」の一番人気は、リップスティック「メスメリック リップスティック」。
独自の5分の2発色で、透明感のある口元を演出してくれる。
本能かな。向いていなかったらきっとやめちゃう、続いてないでしょ。続けられたのがこれだったってこと。成りゆきですね。(笑)
1983年より活動を開始し、ファッション誌や大手企業の広告制作などに参加。1995年に渡米した。今日では、男性のメイクアップアーティストは珍しくないが、当時は稀なことだったという。
渡米前も渡米後も、活動は同じです。ヘアもやっていたけど、メイクの仕事。雑誌、広告、クリエイティブに携わっていました。アメリカに渡ってからは、生活だけでなく、全てが変化しました。自分がもっと自由になれたかな。
日本で仕事をしていた時は、世界の最先端のトレンドメイクを真似する撮影が多かったんです。何が最先端なんだろうって、ファッションをやってる人は思っちゃうだろうし、それを一生懸命やろうとするでしょ。
日本は、やっぱり小さい東洋の島。世界で自分は何ができるんだろうっていうことを確認したくて、海外へ行きました。ニューヨークでは、その最先端のメイクを自分で作る必要がありました。