ジバンシィ バイ リカルド ティッシ(Givenchy by Riccardo Tisci)の2016年春夏コレクションが発表された。これまでパリでコレクション発表を続けてきたメゾンだが、10周年を記念する今季は、舞台をニューヨークへ移動。市民にとって大切な日である9.11(9月11日)に、一般開放形式でショーを行った。
ジバンシィ創立当時から脈々と受け継がれる「愛・家族・仲間」を重んじる姿勢。今シーズンはアニバーサリーコレクションということもあり、より色濃く反映されている。6か国のウェディングシーンをイメージソースとしたのも、民族の垣根を越えた「愛」を訴えるためだ。
88体にも及ぶコレクションピースでは、タキシードとランジェリーを組み合わせ、男性性と女性性を対比・融合させている。タキシードパンツにシルクランジェリートップスを合わせたり、タキシードスーツの下にランジェリーインナーを忍ばせたり。
またウェディングドレスを想起させる、デコラティブなドレスもポイント。オーガンザの上に施された、ビーズやスパンコールの手刺繍、レースの厚みや重さによって生まれる、ふわりとしたフレアラインや流れるようなマーメイドラインは、品のある美しさを魅せてくれる。
一方で、リカルドらしい要素も発揮。Tシャツをドレスにマッチさせたり、一部分にリブを取り入れたりして、ストリート色を打ち出している。それらもレース素材を合わせることで、コレクションの世界観を保持。
その他にも、着物コートやシルバーチェーンを合わせたヴィンテージ風ドレスなど色濃いルックが並ぶが、中でも10体のオートクチュールドレスがエレガントな余韻を残す。レザーチップやスタッズ、ウロコのようなオーガンザピースを縫い合わせり、球体型のパーツをいくつも組み合わせて生まれた繊細な表情は、ミラノやパリからこのために渡米したクチュリエたちが、ショー直前までかけて創り出したものだ。