カルバン・クライン コレクション(Calvin Klein Collection)の2016年秋ウィメンズ・ランウェイショーがアメリカ・ニューヨークで発表。今シーズンの鍵を握ったのは、メンズとウィメンズの装いの交錯だ。
それを顕著に表現したのは、緻密な仕立てのテーラードジャケットとソフトなワイドパンツからなるスーツである。しかし、スーツ特有の構築的側面は薄く、グレンチェックやブロックチェックといった直線的な模様がさらにマニッシュさを掻き立てる一方、無造作に施されたスリットがセンシュアルな印象だ。また、軽やかで女性らしいシフトドレスは、深く開いたVネックとほつれたヘムがアクセントとなった。滑らかでありながらも、どこか力強さを感じさせるルックが揃う。
二面性を持つワードローブの提案は、2つ目の鍵。都市と野生。その両者に内在する自由な本質にインスパイアされた素材使いには、目を見張るものがあった。例えば、オーバーサイズのカラーにみるフェイクファー、スカンクのデジタルプリント、鈍い光沢を放つレザー。ドレスは磨き上げられた優美なストーンをあしらうことで、洗練されたラグジュアリーと手つかずの野生という対比的な共存をさらに強調した。
全体像として男性的なものには女性的なディテールを、女性的なものには男性的ディテールを加えることで、奥行きのある美しさが生まれた。そこには、意外性のある取り合わせが溢れ、コレクションを一層盛り立てたようだ。