コーチ(COACH)の2017年春コレクションは、属することと反旗を翻すことの組み合わせと、カルチャー支持の概念を探求。今日のファッションにも影響を与えている典型的な“アメリカ男子”のワードローブを再解釈している。
規則や先入観に縛られること、そんな現状に立ち向かう反抗的な若さと勇敢さ、大胆さにフォーカス。それらが影響を受け、そして与えてきたバイカーギャングやB級映画、50年代ビートニクス、NYパンク&ヒップホップ、TVシリーズ「トワイライトゾーン」、ジェームス・ディーンと言ったカルチャーを、一度分解し組み直すことで、それぞれの要素が本来以上の魅力を放つ。
序盤を彩るのは、華奢さの一切ないブラックとレッドのハードなパレット。オーソドックスな風合いのバイカージャケットに、フリンジやペイントを施したものやチェック柄のアウターにバッジを合わせ、要素のぶつかり合いを見せたのもなど、同一カルチャーの中からあらゆる表現を紡ぎ出している。
アーティストのゲイリー・ベースマンがもたらすイラストのユーモアが、アメリカらしいポップな印象をもたらしているものの、カーキの色合いにもわかるようなワークウェアのエッセンスは強く現れ、それぞれのシンボルは互いに存在感を譲らない。しかしそこにこそ、属することと反旗を翻すことの葛藤が見え、それぞれを再構築したからこその美が生まれている。