タカヒロミヤシタザソロイスト.(TAKAHIROMIYASHITATheSoloist.)の2017年春夏メンズコレクション。“本当のこと”を探す“旅人”のそばに現れるというキャラクター「スコロクト」とタッグを組み、洋服の存在とは何かを探求しているような、深遠なワードローブを披露した。
2016年1月に亡くなった、デヴィッド・ボウイを彷彿とさせるデザインが多数登場。僧侶が身にまとう法衣に使用される「絽」や「紗」といった軽やかな素材、またチャイナ服や和服、フェンシングウェアのディテールを落とし込んだアイテムが展開された。特にはっきりと主張されているデザインは、前身頃にボタンを使用しないこと。肩から伸びるベルトや腰紐、股の部分に伸びる留め具などでシルエットを自在に操作し、布の弛みや重なりで立体感を楽しめるデザインを施した。
脇の下や肘の部分は目をこらすほどに美しい。腕を自然に動かすことを想定し入れられた切り込みや、星型に切り抜かれた脇は、機能の追求が“美”として現れている。ジャケットの背中部分には、スコロクトとのコラボレーションらしい「スコバック」と呼ばれるクロスオーバーのディテールを採用。春夏らしい抜け感と、和服のような空気感が同時に味わえる。
アクセサリーのバリエーションも表情豊か。パンツと同色同素材で展開されるブーツや、ジョン・ムーア(John Moore)とのコラボレーションで生まれたオールラバーのコンバットブーツ、パイロットをイメージしたサングラス、スコロクトの可愛らしい表情を思わせるスカーフなど、主役級の存在感を持ちながら他のアイテムと馴染むラインナップだ。
リスペクトするモチーフを落とし込みながら、その組み合わせやブランドらしい解釈で統一感を持たせる。洋服の存在論というところまで意識を投影しながらも、アイテムは実に分かりやすく美しい、魅力的なコレクションが完成した。