人気商品のひとつである、スクラブ状の洗顔料「天使の優しさ」を例に挙げよう。この商品の原料も言わずもがな自然由来のもの。カモミールとラベンダーの抽出液を加えたエッセンシャルオイル、アーモンドパウダー、ハーブなどを順番に加え、しっかりと混ぜて完成する。
独特のテクスチャーをもつ「天使の優しさ」は、使用時に水を少しずつ加え、柔らかくすることで混ぜ込まれたオイルが白濁液として滲み出す。こうして肌に馴染みやすくしたら、くるくると優しく肌をマッサージ。水で洗い流せばしっとりと滑らかな肌を実感できる。
「ラッシュ」ならではの取り組みである、生態系に配慮したものづくりの概念は、原料選びはもちろんのこと、製造工程、そして使用後にまで浸透している。そして、こうした拘りが、人間にとってだけでなく、自然界全体にもポジティブな影響を与えることを重視しているのだ。
「ラッシュ」が“美しい原料”を定義するなかでも、動物が犠牲になっていないかについては、生産者に事前に口頭確認をするとともに、必ず8ページ以上もある確認書にサインをしてもらうほど徹底しているという。
それは開発時でも同じ。「ラッシュ」では新製品を開発する際に、多くの化粧品メーカーが行う動物実験を行っていない。動物実験の代替方法として、ヒト細胞を使用した科学的な安全性試験や白人、黒人、日本人のような黄色人種といった、あらゆる人種のボランティアを募り、世界の人の力を借り、人の肌で「安心安全」を検査している。
「ラッシュ」の商品の65%は、合成保存料を使用しておらず、その代わりに昔から保存料として用いられていたハチミツや塩などを採用している。また、スクラブはマイクロビーズなどプラスチック性のものではなくアーモンドや大豆、米粉、コーヒー粉を使用し、ラメなどは海に流れた際に海洋生物に影響が出ないような天然鉱物などの成分を用いている。
ちなみに、「ラッシュ」の商品には固形商品が多い。バスボムやシャンプー、マウスウォッシュまでもが固形で売られている。これには理由があり、水の削減はもちろん、パッケージなしで陳列できるためゴミの削減にも繋がるといった“エコ”活動の一環だそうだ。
創立者の一人であるロウィーナ・バートから、商品開発に込める想い、そしてスキンケアのポイントを聞くことが出来た。
ロウィーナ:私たちは、自分に自信をもって出られるような肌作り、自分に自信を与えてくれるようなスキンケアを作りたいと思って、日々商品を開発しています。
私も若い頃はニキビに悩んでいたんです。でも、ラッシュで働くようになり、保存料や鉱物油を使っていないものを選んで使用していると、結果がみるみる感じられるようになって。こんな応えてくれるんだって実感するほど、肌が変わりはじめました。それはきっと皆さんにも伝えられること、感じてもらえることだと思います。
ロウィーナ:ラッシュの商品に使われているものは、フレッシュな野菜、くだもの、ハーブ、そして最高級のオイル。保存料を使わない、新鮮なものをバランス良く組み合わせたスキンケアを使えば肌自体もそれに応えてくれるし、最高の状態に肌自身がなってくれるんです。
体調でも同じことが言えると思いますが、ジャンキーなものばっかり食べていると体に良くないじゃないですか。ラッシュの商品は“肌にご飯をあげているような感覚”と思ってもらえれば嬉しい。肌は、鉱物油や保存料たっぷりだとそれと同じ状態を招くことになる。「ただ安いから」というだけで、それらを含んだもの使い続けると、普通に肌は機能しているように見えて、ベストな状態ではないんですよね。
ロウィーナ:今の若い方たちって“何かをやっつけちゃう”、“調子が悪い肌へ挑む”という感じでタフな方法をしている方が多い気がしています。でも実はそうすべきではなくて、肌の調子が悪かったら、やさしく手間と時間をかけてケアをしてあげることが大切。戦っちゃだめ!
だから、肌からのSOSに気づいたら「調子悪いのねー。ケアをしてあげなきゃね。」っていう風に愛情を注いであげてほしい。先ほど話した“肌にご飯をあげているような感覚”っているのは、そういった優しさのあるアプローチのことですね。肌自身がもつ力で、バランスを保てるようにお手伝いしてあげるのが私たちのするべきことだと思います。