トム ブラウン(THOM BROWNE)の2018-19年秋冬コレクションが、2018年1月21日(土)にフランス・パリで発表された。
今回の会場は雪の降る街。そこには数本の木が立ち並び、その下にはビーチサイドみたいにずらりとサンラウンジャーのようなベッドが並んでいる。ひとつひとつに寝袋が置いてあって、なんだか異様な光景だ。2人の男が現れ、ストーリーは始まる。彼らは白いファーベストとプリーツスカートを履いていて、何か探し物をしているようだ。あてもなく彷徨うような彼らがいる一方、その雪の降る街に男たちが続々と現れる。
男たちというよりも“男の子”という方が正しいかもしれない。彼らの風貌はなぜか幼さが残る。ほっぺは赤くて、おさげ髪。それでも身に着けているのは、贅沢すぎるほどのダウンジャケットだ。どれもボリュームがしっかりあるわけではなく、あくまでテーラードの美しさを尊重している。丈はほとんどがロングで、後ろにはベンツが長く施されているから、ダウンコートであってもボリュームによる強さみたいなもの全くない。ダウン特有のカジュアルさはなく、むしろ上品さを纏っている。
そして、グレーとホワイト、レッド、ブルーといったトム ブラウン独特のカラーリングによるクラシックなムードはもとより、今シーズンはケーブルニットやノルディックニットによる穏やかさと、すべてチェック柄で統一したトラッドなムードが流れ出す。そして、そこにはトム ブラウンらしさがいっぱい詰まっていて、例えば、ノルディック柄の中にはトム・ブラウンの愛犬が隠れているし、チェック柄はブランドのアイコニックカラーが採用されている。先に述べたコートのベンツにだって、ブランドのアイコニックなカラーがちらりと顔を覗かせている。
演出はというと、彼らはこうしたワードローブを身に着け一通り街を歩いたあと、なぜだか全身グレーのスーツで再登場する。おそらくそれが彼らのパジャマなのだろう。トロンプルイユのように“スーツを着た男の人”のデザインが施された寝袋をベッドに敷いて、アイマスクをして寝てしまう。しかし、最後の男だけは違って、テディベアを手にもって寝袋に入る。
そんな彼らを最初に登場した2人寝かしつけていく。幼さの残る彼らが現実で着飾ったワードローブを脱ぎ捨て、布団につく瞬間はとても幸せそうだ。なぜなら寝袋にもあるように、彼らは夢の中で本当の紳士になれるのだから。