ローブス&コンフェクションズ(robes&confections)の2018-19年秋冬コレクションが発表された。
今季、デザイナーの土屋郷は、珍しく外から受けた刺激をもとにクリエーションを進めた。ファッションの歴史を刻んだ数多くのフィルム、フォトグラフィー。その中で土屋の心を掴んで離さなかったのは、50年代初めパリで撮影された1枚の写真だった。
中央に映るのはスーツを纏った3人の女性。タバコを加え、紳士服のようなジャケットをセクシーに着こなしている。周りを囲むのは女性に見とれた男性たち。なにせ、この時代に女性がスーツを着るという行為は珍しく、イヴ・サンローランがモデルにタキシードを着せファッション界の中心へと駆け上がっていった時期。モードの先端を進む彼女たちの革新的なスタイルは、当時パリの男性だけでなく多くの心を掴んだに違いない。
時を超えてこの写真に惚れた土屋。目指すのはセクシーでエレガントに着れるテーラードだ。当時の教えにのって、素材はダブルフェイスのウールを。現代ではなかなか手に入らない希少なファブリックをオリジナルで作成した。厚みとハリがあるのに、身体に馴染む柔らかな風合い。その素材の良さは、ジャケットに仕立て袖を通すとよりはっきりと浮かび上がる。
ジャケットはボックスシルエットに整え、ラペルは大きく。ボトムスにはパンツでなくて、ボタンを一列に並べたロングスカートをあえて選んだ。ボタンの開閉によってスリットの大きさを調整できる機能性は、現代女性へ向けた優しさだ。また、男性の3ピースからベストをピックアップしてロングスリーブをあしらい、変形ジャケットも完成させた。
50年代の女性たちが好んだというアストラカン。こちらも現代ではなかなか見られないものであるが、ウールモヘアを使ってテキスタイルから作りコートをデザインした。立体的なループ糸を使ったアウターは、落ち感のある美しいシルエットの上で抜群の迫力を発揮する。
コーディネートを豊かにしてくれるピースとして、ヘリンボーンのニットと、ボーダーのミックスニットを。いずれもヴィンテージショップで見かけるような暖かみのある佇まいで、50年代の華の都・パリへと見る者を誘ってくれる。