指揮を執る監督は、実際に9歳から17歳まで奨励会に在籍していた経験のある豊田利晃。映画『火花』の脚本なども務めた豊田だが、本作は監督生活20年目の節目にあたる年に挑んだ作品。「将棋を描くなら、『人生の縮図=将棋そのもの』な世界にたどり着きたい」という思いを込め、入念な将棋指導を施して挑んだ対局シーンをはじめ、自身も身を置いていた世界を描くからこその徹底した演出で、迫力のある盤上の戦いをスクリーンに収めた。
26歳。それはプロ棋士へのタイムリミット。 小学生のころから将棋一筋で生きてきた"しょったん"こと瀬川晶司の夢は、年齢制限の壁にぶつかりあっけなく断たれた。奨励会退会後、将棋とはしばらく縁を切り平凡な生活を送っていたしょったんに突然訪れた父親の死…。親友・悠野ら周囲の人々の支えによって父の死を乗り越え、再び駒を手に取ることに。プロを目指すという重圧から解放され、その面白さ、楽しさを改めて痛感する。「やっぱり、プロになりたい――」。35歳、しょったんの人生をかけた二度目の挑戦が始まる。
映画『泣き虫しょったんの奇跡』
公開時期:2018年9月7日(金)
出演者:松田龍平、野田洋次郎、永山絢斗、染谷将太、渋川清彦、駒木根隆介、新井浩文、早乙女太一、妻夫木聡、松たか子、美保純、イッセー尾形、小林薫、國村隼
監督・脚本:豊田利晃
音楽:照井利幸
原作:瀬川晶司『泣き虫しょったんの奇跡』(講談社文庫刊)