ファクトタム(FACTOTUM)の2018-19年秋冬コレクションを紹介。
アメリカの小説家、ポール・オースターの小説『幽霊たち』からインスピレーションを得た今シーズン。1950年代のアメリカのハードボイルドやアメリカントラッドをベースに、クラシックとモダンの要素をハイブリッドした、新たなスタンダードウェアを提示する。
ダブルブレストの千鳥格子柄ウールコートは、ネイビー、オレンジ、グリーンと、温かみのある色彩を組み合わせることでレトロな表情に。トレンチコートにはニドム加工とコーティング加工が施されており、ドロップショルダーの形も相まって、前から愛用してきたかのように親しみやすい質感となっている。
その他、ムートンのライダースジャケットやレザーブルゾンなど、ハードな素材のアウターも登場。使っている素材はハードだが、身体に寄り添うように端正なパターンメイキングによって、上品な空気感を放っている。
淡いピンクの開襟シャツ一面に細かくプリントされているのは、探偵道具。小説『幽霊たち』の主人公が探偵であることから着想を得て、繊細なタッチで描かれている。また、キャッチーな「GHOSTS」のロゴを配したクルーネックニットや、幾何学的で角ばった柄のモヘアシャギーのセーターなど、思わず目を留めてしまうような遊び心のあるデザインも散見された。
ツータックパンツ、ストレッチツイルのスラックスなど、ボトムスはいずれも身体と程よい距離感を保ちながら、美しいラインを描き出す。グレンチェックのサイドアジャスタースラックスは裾にかけてボリューム感を持たせることで、ゆったりとした抜け感を表現している。
ジェリー(GERRY)とコラボレーションした、ポリエステルタフタのダウンジャケットは、ブルーとグリーンのカラーブロックや、スキージャケットを思わせる襟がスポーティーな雰囲気を演出。落ち感のある素材で仕立てたパンツや、知的なハイネックセーターと組み合わせることで、洗練された、クリーンなスタイリングとなっている。さらに、ディッキーズ(Dickies)ともコラボレーション。深みのあるグリーンやブラックに彩られた、細身のワンタックスラックスは、着用した時のすっきりとしたシルエットが魅力だ。