ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)は、2019-20年秋冬コレクションを、フランス・パリで発表した。
ヴァージル・アブローが手掛ける2度めのシーズンとなる今季。焦点を当てたのは、マイケル・ジャクソンだ。少年期から人生を通して普遍的な人気を誇ったスターは、彼自身が熱狂を集める1つの偶像として存在することで、彼を取り巻く世界中の多様な人々を1つにした。
才能に満ちたスター、マイケルの輝きに着目するとともに、マイケルがスポットライトを浴びることによって浮き彫りになる、人々の多様性に焦点を当てている。
多様な世界を表現するモチーフとして選んだのは国旗。ストレートだが、インパクトがあり普遍性を持ったシンボルとして、パッチワークのブラウスやアウター、レザーバッグに、パワフルなカラーリングで落とし込まれた。プリーツ加工が施されたり、単色使いで柄が表現されたりと、象徴的なモチーフとしてコレクションの随所に登場する。その他、多様性を象徴するレインボーカラーを配したニットやバッグも展開された。
立体的な仕立てによって存在感を放つ、ベージュやグレーのコートやジャケットには、レリーフのような装飾があしらわれている。ボリュームがある分丸みを帯びた襟や裾のラインと、デフォルメされたモチーフが相まってポップな印象に。ドロップショルダーの緩やかなフォルムに仕立てられたロングコートは、大らかな表情を見せる。
また、厚みのあるウール地やレザーにモノグラムを型押しした、ジャケットやバックパックなども揃える。斬新な質感の上に乗せられたアイコニックなモノグラムは、ユニークだがキャッチーな印象。マイケルの存在と共鳴するかのようだ。
マイケルが放つまぶしい程の輝きを反映させたジャケットには、スパンコールやビジューが散りばめられ、細やかな光が着る人の存在を照らし出す。メタリックシルバーのフード付きコートや、マイケルのシューズを描いたプリントTシャツは、ステージ上の彼の存在を彷彿させる。ハリのある構築的なコートの下に重ねられたのは、体を傾斜させるパフォーマンスのシルエットを総柄にしたブラウス。ポップアイコンであるマイケルを、記号的に解釈し、遊び心とともに表現した1着だ。
ショーの最後には、会場が暗転し、虹色に光るモノグラムバッグや発光するスニーカーが登場。ショーアップされた演出で、観客を楽しませた。