アンリアレイジ(ANREALAGE)の2019-20年秋冬コレクションが、フランス・パリで2019年2月26日(火)に発表された。
これまで「光」を追い続けてきたアンリアレイジだが、昨シーズンの東京開催でのショーを「光」の集大成とし、今季より新たなテーマに挑む。新章のテーマは「服」。洋服ブランドが掲げるテーマとしては潔くてシンプルな印象だ。
新ステージの幕開けと共に、トライしたのは、ショーの前に全ての洋服を公式インスタグラムで公開するという斬新な試み。並んだクローズアップショットからは、ニットの網目、アウターのボタンやトグルなどの装飾、ブレザーのエンブレムなど細かなディテールがしっかりと確認できる。ここにはー“服でしか表現できないテーマ、服でしかみつけられない発見、普段見慣れている定番的な服の中にこそ、非日常への入り口があると信じ進みます。”と、デザイナー森永邦彦の大きなメッセージが込められていた。
ショーに登場する洋服は、インスタグラムで得た第一印象とは大きな差異があった。本来洋服の一部である袖口やポケット、襟は大きくデフォルメされ、一つの洋服として登場している。
白シャツの手首を通すはずの“穴”からはボディ全体が飛び出ていて、ワンピースに変身。トレンチコートのポケット“だったはずのもの”は、物を入れる代わりに身体を通すことで、ケープジャケットに変わっている。デニムジャケットの襟も拡大され、頭だけを通すはずの穴から身体が通り、ポンチョコートとして新しい命が宿されているのだ。
ブランド名やサイズ表記の目的であるネームタグも、身体全体を包み込めるほどビッグサイズになり、ブランケットやマフラーに変身。手袋は、指を通す穴から顔・両腕が出ていてニットワンピースに様変わりしている。
画面上では想像することのできないビッグサイズに洋服を変更することで、伝えたのは現代に向けたメッセージ。「画面の上では伝えられない服を。画面の上ではわからない服を。」ネットを介して新しいものに触れることの多い現代に、本物に触れないとわかならいこともある…という力強いメッセージを吹き込んでいる。