トクコ・プルミエヴォル(TOKUKO 1er Vol)の2019年秋冬コレクションが、2019年3月22日(金)に渋谷ヒカリエにて発表された。
まるでおとぎの国に迷い込んだかのような今シーズンは、デザイナーの前田徳子が、エストニア、リトヴィア、リトアニアのバルト3国を他の知る中で出会った、自然の移ろいにあわせて装いを楽しむ、民族たちのハッピーなワードローブから着想を得た。
ブラウスに長いスカート、そしてエプロンを身に着ける東欧の民族衣装。まるで色鉛筆をひっくり返した時みたいに色に溢れたテキスタイルは、心躍るようにハッピーな雰囲気だ。特に、カラフルなストライプはその代表的なファブリックのひとつで、ショー序盤には、鮮やかな小花柄とともに登場した。手には春の野に咲くたくさんの花をもって、春の訪れを喜び合う。
夏の訪れを喜ぶのは黒のレース。柔らかな風に舞うシースルーのロングスカートと、ランダムヘムのトップスの組み合わせ。黒で統一されたルックには、繊細な草花のレースやパッチワークなど、民族衣装を象徴するディテールも垣間見える。足元のバレエシューズには、たくさんの花を咲かせて。胸元に添えた、大振りの花もまたこの夏の軽やかな装いに彩りを加える。
うつろう季節は、やがて秋を迎えたのだろう。次に登場したのはドット柄だ。モノトーンを基調に、プリントやカットワークでドットを配した。寒い冬に備えて足元を彩ったポンポン付きのブーツは、白いステッチで花を描いたジャケットやスカートの足元で存在感を放った。花の色彩は消え、黒へと変化し、さらには冬に備えてファーがあしらわれている。
冬のために準備した、かぎ針編みのニットは、まるで天使の羽根のように繊細で、今までのどのアイテムよりも温もりにあふれている。それをスポーティーなフード付きトップスの上に羽織ることで、エスニックとモダンを融合させた。トップス自体は、ただスポーティーなだけでなく、繊細な刺繍を施し、レースをあしらって素朴な民族意識を思わせる。足元にはノルディック柄のシューズをあわせて、冬への備えは万全、といったところだ。
フィナーレでは、とびきりプレイフルな色の世界が待っていた。マルチカラーのボーダーニット、万華鏡みたいにカラフルなワンピース、そして花の形をしたフェルトの帽子。ハッピーな民族衣装を表現したおとぎの国のランウェイは、日本の春の到来とともに、再びあたたかな季節を迎えた。