アクネ ストゥディオズ(Acne Studios)は、2020年春夏メンズコレクションを、フランス・パリで発表した。
今季のクリエーションにあたりアプローチしたのは、「実験」と「規範」を融合させ、対比させること。“アートスクールの学生”に自身をなぞらえ、アートスクールという「規範」の中に身を置きながらも、「実験」を通して新たな表現を生み出そうとする、視覚的な表現への探求心を、コレクションに投影した。
印象的なのは、優しくソフトな色使い。イエロー、ライトブルー、青みがかったグリーン、クリーム、ホワイトといった明るいトーンの色味に、ウォーミングなレッドが加わることでエネルギッシュなアクセントを効かせている。幾何学的な模様を描くレッドのジャカード地で仕立てたロングブラウスやハーフパンツには長めのフリンジをあしらい、民族調に仕上げている。
加えて、ライトベージュやブラウンといったアーシーな色味も散見された。ミニマルなトレンチコートや、風合い豊かなスウェードジャケット、袖口にフリンジを配したオーバーサイズのブラウスなどは、ナチュラルなムードを放つ。ノーカラーのフラットなカーディガンには、所々にオレンジのテープを配したネイビーのパンツをコーディネート。濃い色彩のボトムスを合わせることで、トップスの削ぎ落とされたシンプルさが際立っている。
レースやフリル、フラワーモチーフといった、華やかなモチーフも特徴的なポイントの1つ。薄いブルーのシアーなブラウスの袖に配したレースや、ホワイトのメッシュニットに配したフリル、ハイネックカットソーに、ピンクのグラデーションとともにあしらった花柄など、プレーンなアイテムに柔らかさを与え、中性的な雰囲気を強める。
目に留まるのは、光を味方につけたデザイン。プリントシャツのフロントに大胆にあしらったアセテートのパネルは、光の反射によって見え方に奥行きをもたらし、アーティスティックな存在感を演出。アセテートは、ネクタイやジャケットの襟にも採用されている。その他、シアーな素材で上品に仕立てたホワイトのジャケットや、コーティングを施した、ツヤのあるダークカラーのジャケットなど、多彩な質感のウェアを揃えた。
グラフィカルなデザインが、コレクションにコンテンポラリーなムードをもたらしている。プルオーバーブラウスには、グラデーションで濃淡を付けながらうねるような模様を総柄で配し、袖にボリュームを持たせたブルゾンにはエキゾチックな柄をプリント。アセテートの透明なコートから透けて見えるジャカード織のライナーは、時に曖昧に、時にはっきりと模様を見せる。細い布切れを粗く交差させて形作った構築的なパンツやシャツ、波紋のようなテキスタイルのショートパンツもまた、モダンな雰囲気を演出する。