2012年10月19日(金)、アリスアウアア(alice auaa)が2013年春夏コレクションを発表した。テーマは「ALICE IN WONDERLAND IN ME」。アリスが不思議の国に迷い込んだストーリーをモチーフにしたコレクションだ。「初めてロンドンに渡った時の経験は、エキサイティングで色々な事ができたラッキーな出来事だった。僕らの若い頃は、本当に憧れのロンドンという感じだった。その時に出会った人々をアリスの物語の登場人物になぞらえた。」とデザイナーの船越保孝は語った。
会場には幻想的な音楽が流れ、森で遊ぶ少女の姿がスクリーンに映ると、観客はゴシックなムードに引き込まれた。
デコラティブなパフスリーブのドレスやクリノリン(スカートの骨組)だけのスカート、構築的で複雑なフォルムのワンピースなど、登場するのはゴシック、フェティッシュ、パンク……様々なロンドンカルチャーがミックスされたファンタジックなアイテム。
それぞれのモデルは、アリスの物語の登場人物だ。頭部ををすっぽりと覆う大きなシルクハットを被った燕尾服のルックや、チェシャ猫をイメージした螺旋状のフープのドレス、チェスのようにシェイピングされたロングドレスなど、ユニークでどこか妖しげなルックは、観る者を楽しませる。またティアードのスリーブやフリルのドロワーズなど、ロマンティック且つデコラティブなディテールの美しさにも目を奪われる。
東京コレクションに参加する意義は何か、という質問に対して船越は「やるからには世界中の人に見てもらいたいという思いがあって参加している。単に奇をてらいたいのではなく、あくまでゴシックなどのディープな世界の入口として楽しめるものを作りたい。変だ、といわれるのは本望だ」と船越は服作りの信念を語った。船越自身も黒ウサギの着ぐるみの中に入り、フィナーレで被りを脱いで挨拶し、観客をアッと言わせた。観る者全てをディープなアリスアウアア・ワールドへと誘う、魅惑的なコレクションとなった。