サンローラン(Saint Laurent)の2020年春夏ウィメンズコレクションが、2019年9月24日(火)に、フランス・パリにて発表された。
サンローランがコレクション発表のために屋外ステージを用意した場所は、今季もエッフェル塔を望むトロカデロ庭園。パリの空はあいにくの雨模様にも関わらず、今シーズンも待っていましたとばかりに、パリ市民がショーを一目見ようと集まっている。
ファッションショーを目前に雨風がより一層勢いを増していたが、開始のアナウンスが流れる頃には、サンローランが魔法をかけたかのように、雨がぴたりと止んでいた。直前までどしゃぶりだったことを教えてくれる水の溜まったランウェイや会場に立ち込める霧さえもが、ショー演出の一部であるかのようだ。
ショーは、ステージ上に設置された無数の回転式のスポットライトが光の柱を生み出し、重低音が鳴り響くとともにスタート。モデルたちはこの光線が作り出した幻想的なアーチの下をくぐって、キャットウォークを闊歩していく。
ショー序盤は、ダブルブレストのノーカラージャケットにシャツやパンツを組み合わせたルックなどがメインで、ややマニッシュな印象。しかしながらスーパーショート丈のパンツや胸元を深く開けたシャツなどをスタイリングしているため、アンソニー・ヴァカレロが得意とするセンシュアルな女性らしさも感じさせる。
突然ロングボトムスのルックが現れると様子は一変。煌めく刺繍をあしらったシースルードレスや、細やかなプリーツを入れたゴールドカラーのスカートなどによって、ランウェイが輝きで満たされる。ランウェイを照らす力強いスポットライトにも引けを取らない、眩いばかりの煌めきだ。
中盤特に存在感を放っていたシースルーのドレスやブラウスには、メゾンのコードであるブラックだけでなく、ネイビーやボルドー、ダークグリーンなど深みのある上品なパレットを採用。アイテム自体もひざ下丈のドレスやフレアシルエットのスカートなど優美なものに変わり、エレガントなフェミニティが加速していく。
フィナーレに近づくにつれランウェイを席巻したのは、真っ黒に染まったテーラードジャケットやうねるようなカッティングを施したリトルブラックドレスなど、漆黒のピース。ただしそれらはシークインやラメなどの装飾を施したテキスタイルで仕立てられており、ステージのバックにそびえ立つエッフェル塔と連動するように、きらきらと眩い輝きを放つのである。