まとふ(matohu) 2020年春夏コレクションが、2019年10月7日(月)にまとふ 表参道本店にて発表された。テーマは「藍の源流」。
2019年春夏コレクションより、映像+プレゼンテーション形式でコレクションを発表しているまとふ。「手のひらの旅」と名付けられているこのプロジェクトシリーズは、今回四国の徳島を舞台に、古くから伝わる日本の伝統染色“藍染め”へと目を向けた。
日本人なら誰しも一度は耳にしたことがあるであろう“藍染め”。しかし近年市場に出回っているその殆どは、化学染料などを使用した人工的な産物であるらしい。
今回デザイナーが訪れた徳島は、かつて藍を原料とした染料「すくも」の国内最大の生産地として栄えていた場所。時代の移り変わりと共に、今では「すくも」を作る藍師たちは、県内全体で5人へと激減してしまったが、植物の栽培から染色までの過程を全て手作業で行う伝統的な技法は世代を超えて守り続けられている。植物の生命から生み出される、深くて優しい天然の色合い。今季のコレクションは、そんな“ジャパニーズブルー”に染まった美しいワードローブを主役にした。
展開されるのは、日本の伝統的な染色技法を駆使しながら、モダンな空気を纏った日常着。上下で濃淡の異なるデザインのジャケットは、藍に浸ける回数を変えて作る段染めで仕上げたもの。素材には、和紙からできた糸を使用したことで、よりクラフト感溢れる温かみのある表情へと仕上げている。またボーダー柄のボトムスにもひと手間加えて。本来綿だけで仕立てるしじら織に、シルクを混合させることで、高級感溢れるなめらかな風合いへとアップデートした。
ポップなイエローのボトムスと組み合わせた藍染めの長着は、光の残像のように白く浮かぶ絵柄が印象的。職人たちが蝋(ろう)を何重にも重ねて仕上げる“ろうけつ染め”と呼ばれる技法を駆使して生まれたこだわりの一着だ。
異なる4色の藍染め糸が“さざ波”を描くように仕立てたセットアップは、徳島を代表する清流・吉野川を連想させる涼し気な一着。足元は敢えてスニーカーをチョイスしたことで、より軽やかなムードに仕上げている。
これらのワードローブと合わせて展開されたのは、アルミを藍染めしたという真新しいアクセサリー類。日本の伝統的な色合いに染まった、ピアスやブレスレット、ネックレスといったアイテムからは、古きよきものを現代に蘇らせるブランドの真髄が感じられた。