ヨシオクボ(yoshiokubo)の2020-21年秋冬コレクションが、フランス・パリで2020年1月17日(金)に発表された。テーマは「POISON IVY」。
今シーズンのキーワードは、古くから日本に伝わるものであるが、いまの日本人にとって少しずつ遠い存在になってしまっている「漆」。日本の伝統技術からイメージを枝分かれさせ、現代社会と日本の伝統文化を結びつけたようなユニークなコレクションを仕上げている。ショーのサウンドは、琴の生演奏だ。
コレクションの主役は鎧である。といっても過去の戦闘用衣服をただ蘇らせているのではなく、モダンな形に仕上げているのが今季の特徴だ。
使用したのはキルティング素材。グレーのキルティング素材を使って、肩、腕、胸元、手の甲までをプロテクトする機能的な鎧を完成させる。縁取りにはネイビーブルーのパイピングをあしらってファッションを楽しむ心を忘れずに。
こうしてモダナイズさせた鎧は、決して出会うことのなかったであろうテーラードと引き合わせる。ジャケットの上から身体を覆い守るように鎧が存在する。フォーマルピースとかつての戦闘服との出会いは、驚きに満ちており、現代社会に鎧が舞い降りると、懐かしさよりも目新しさが勝っている。
また、白シャツのアームラインにもドローコードをくねくねと施し、さらりと羽織れる"モダンな戦闘服”として、いまを生きぬく紳士たちに新たなファッションとして提案している。
同時に展開したテーラードは、ほんのりと着物のエッセンスを感じさせるデザイン。襟元からボタン周りにかけてやや斜めに整えることで、和のエッセンスを加えた。ボトムスはクロップパンツをあわせ、足元は、墨汁で染めたようなムラ染めのスニーカーを。「リーボック」のカタカナロゴ入りでポップに仕上げている。
時代を超えて、異なる要素のミックスマッチを繰り返すコレクションでは、スタイリングもアンバランスさを楽しんでいる。ボクシーなシルエットジャケットからロングシャツが大胆に顔を出していたり、ジャケット下のニットがバストラインまで上がっていたり、当たり前の位置に当たり前のものがない、ユニークなスタイリングが魅力的だ。