ジュンヤ ワタナベ・コム デ ギャルソン(JUNYA WATANABE COMME des GARÇONS) 2020年秋冬コレクションが、2020年2月29日(土)フランス・パリで発表された。
不気味なほど真っ赤なネオンライトによって染まったショー会場。始まりの合図はなし、気が付けばその異様な空間に漆黒に包まれたモデルが登場していた。音響障害だろうか?通常ショー演出の1つとして大切な役割を担うサウンドはなく、“無音”という斬新な演出で、モデル達が歩みを進めていく。
ランウェイに浮かび上がるのは、ブラックの“レザー”を取り入れたスタイリング。その会場の色彩によって、ワードローブのディテールをみることは困難だが、レザーの持つハードな表情を感じることは確か。静まりかえったランウェイに、更なる緊張感を生み出している。
突然これまでの演出を覆すようなポップなサウンドが会場に鳴り出したかと思えば、照明も白へと変わり、コレクションの全容を鮮明に映し出していく。なるほど、今季はパンキッシュなテイストを全面に打ち出した、レザーの可能性を探求するアプローチが行われているようだ。ベースとなるのは、ブランドの得意とするテーラリングジャケット。その上には、鮮やかなレッドへと代わったレザーアイテムが、私を見て!といわんばかりにそのユニークなスタイリングを提案している。
例えば、マニッシュなレザージャケットは、タフなショルダーラインを残したままスカートへと変身。またぱっくりと背中の空いたレザージャケットは、ハーネスを組み合わせたような斬新なカッティングが施されている。レザー×チュールなど、相反する要素をドッキングしたコーディネートも登場。
「セクシー バイ ジュンヤ ワタナベ」をテーマにしたという今季のコレクションは、こうした本来とは異なる違う角度からのアプローチによって、新たな女性のセクシーさを表現しているように感じられる。
美しきシルエットのテーラリングにも、エッジを効かせたアレンジを加えて。レオパード柄のシャツには、ジャケットのアームだけをくりぬいた斬新なスタイリングを提案。両肩を繋ぎ合わせるように、ハーネスベルトが装飾として取り入れられている。
そしてこうしたハーネスは、機能的な一面を持ったアクセサリーとなっていたのも印象的。従来よりもベルトの本数を増やし網目模様を描いたそのモチーフは、ベルトが行きつく先にバッグをオン。ウエストの両サイドやショルダーという至るところまで、四方八方に複数のバッグが現れた。