Q:以降はウィメンズ向けの服も作るようになりましたね。
ディーン:そうです。後にスタートさせたウィメンズコレクションのファッションショーには、一流モデルのステラやナオミ・キャンベルが参加してくれました。
彼女たちが、ランウェイを歩いてくれたことも、非常に大きな出来事です。名声のある彼女たちが大きくディースクエアードを披露してくれたことは、当時、多くの人にブランドを知って貰う必要があった僕たちにとっては、とても意味のあることになりました。
ディースクエアードの魅力といえば、サプライズの尽きない大胆でゴージャスなデザインだ。ディースクエアードのコレクションには、毎シーズン、セクシーであったり、ワイルドであったり、あらゆるテイストが混在している。次に伺ったのは、コレクションの製作について。
Q:複雑なディテールからスタイリングまで、どのようなプロセスで決定しているのでしょうか。
ダン:僕たちは、旅行や日常の生活、取り巻くすべてのものから常にインスピレーションを得て、全てをミックスすることでデザインを完成させています。しかしながら、皆さんに喜んでいただけるようなディースクエアードを作り上げるには、ただ自分自身がそれをミックスするだけでは最高のものはできません。ディーンと互いの感情を分かち合い、影響し合うことが非常に大切なのです。
僕はメンズ、ディーンはウィメンズをメインにフォローしているのですが、毎シーズン、両者のメッセージは同じもの。僕たちの場合は、メンズからウィメンズの順にメッセージを共有することに何か意味があると感じており、それがブランドをより完全でまとまりのあるものにしているとも考えています。
Q:いつも仲のいい印象を受けるディーンさんとダンさんですが、クリエーションの過程で意見が合わず衝突したことはありますか。
ディーン:絶対にありません!僕たちは、お互いにどちらか一方を失っては存在しえないのです。
Q:先ほどのお話にもありましたね。お互いが感情を分かち合い、影響しあってディースクエアードは完成していると。
ダン:そうです。僕たちは互いの足りない部分を補完し合うことでディースクエアードを完成させています。
Q:ダンさんは、ディーンさんのどのような部分が自分に足りないものを補ってくれていると感じますか?
ダン:ディーンは創造的で、衝動的で、とてもセンシティブ。僕には足りない部分です。
ディーン:ダンは、僕よりも論理的で、思慮深い。ビジネス志向の持ち主でもあります。
Q:なるほど。全く異なるのですね。
ディーン: 僕たちは、オープンに議論を交わすことで、日々新しい視点があることに気づき、取り組むべきことと、足りないところを感じ合っています。
でも、足りない部分があっても、不安はありません。それは、生まれた時からずっと2人で一緒に歩んできて、盲目的に“誰かを信頼できること”を知っているから。
この25年間、どんなチャレンジでも乗り越えられてきたのはそのおかげです。
Q:では逆に似ているところはありますか。
ダン:僕たちは、前向きな姿勢で、ポジティブの先にある輝きが大好き。最終的な目標は常に一緒です。
日々変わる環境の中でも、僕たちが“最高”でいられれば、“最高”と思ってもらえるものを生み出すことができます。最終的にどうなるかがはっきりと分からなくても、その目標があるから、常に協力し合えるのです。
ディースクエアードを語る上で欠かせないのが、音楽との関係性。これまでに数多くのの衣装提供をはじめ、名だたるアーティストたちとコラボレーションを行ってきた。
Q:これまで、マドンナとのコラボレーション以降にも、多くの音楽アーティストとの関係を築いてきました。
ダン:僕たちは、素晴らしい才能を持った方と仕事をするチャンスに恵まれすぎていますね。
リアーナとは、ディースクエアードの下着を一緒に製作し、彼女は2008年春夏シーズンのランウェイショーにも登場してくれました。クリスティーナ・アギレラが、ランウェイを歩いたときのことは忘れられない思い出です。
そして、ブリトニー・スピアーズ、レニー・クラヴィッツ、 マイケル・ブーフレ、リッキー・マーティン、ルイス・フォンシ、ビヨンセ、ファーギー、彼らとの特別な瞬間すべてが、僕たちの今に繋がっています。
Q:ミュージシャンへの衣装提供は、どのようなところに面白さがありますか。
ダン:アーティストたちがつくる物語のストーリーテラーとして参加できることです。
僕たち自身も音楽が好きですし、音楽との特別な関係は ディースクエアードにとって大きな価値となり、インスピレーションになります。
Q:ディースクエアードにとって音楽とは?
ディーン:ディースクエアードと音楽は、大きなインスピレーションであり、常にリンクしていて、切っても切り離せない関係にあると思います。
ランウェイでの発表を行っている僕たちにとって、メッセージを伝え、コレクションをより深く理解してもらえる手段としても音楽は有効です。
ただ、これは、音楽に限ったことではありません。ディースクエアードのファッションが、服を着るという概念に留まらず、それらを取り巻くすべてのものと相互的にプラスの影響を与え合っていることがとても大切。ブランドスタート時、最初にビジョンとして掲げたことがここに繋がります。
Q:スタート時の目標は今、実現できていますか。
ダン:もちろんです。はじめから僕たちにとって“目標”は常に“現実”です。そうであるように努めてきました。
“yesterday it was a dream today is a reality.=昨日の夢は今日の現実なのです。”
ただ、僕たちにゴールはありません。自分自身やブランドが“今、絶頂期にある”と考えられないから。たくさんいい思い出はありますが、ディースクエアードをより良くするためにすべきこと、そして改善するために学ぶことは尽きません。
Q:ブランド25周年を振り返ってみて、今、ディースクエアードの強みは何だと思いますか。
ディーン:それは紛れもなく僕たちが家族であること。2人の関係は永遠に変わりません。そしてファッションが大好きな双子であるディーン&ダンが、このブランドの1番の顧客であり、トレードマークであることが、強さだと感じています。
ダン:ディースクエアードが提案するのは、イタリアのテーラリング、カジュアルなデニム、レザー、煌びやかなアクセサリーなどをミックス&マッチさせた変化に富んだスタイル。それはまるで僕たちのように、全てが“補い合う”関係性です。こうした豊かな創造力に満たされたファッションも、ディースクエアードならではです。
Q:今後、ディースクエアードが、ファッション業界でやらなくてはいけないと感じることは何ですか。
ダン:急速に変化する時代の中で、もっと様々なチャネルに活動範囲を拡大しなければいけないと感じています。ディースクエアードを一緒につくってくれているサポートスタッフ、そして手に取ってくれる皆さんのためにも、今後、さらに成長していこうと思います。
そのためには、これまで以上に古いものも、新しいものも積極的に織り交ぜていかなければいけません。かといって時代に流されるのではなく、変化の中でもディースクエアードとしてのアイデンティティは、変わらないであり続けたいですね。
なお、2020年9月から10月にかけて、25周年を記念したカプセルコレクションを、限定ストアをメインに一部店舗にて販売。限定ストアは、2020年9月23日(水)から始まる阪急メンズ大阪を皮切りに、阪急うめだ本店や、伊勢丹新宿店、伊勢丹新宿メンズ館にて開催される。赤と黒をメインカラーとした「D25」のモチーフと、レトロスポーツに着想したデザインが特徴となっている。