沢口さん演じる法医研究員の榊マリコと、内藤さん演じる土門薫刑事は、いわゆる“ドモマリ”コンビで数々の事件を解決に導いてきました。劇場版ではどのようなコンビネーションが見られるのでしょうか？

沢口：マリコと土門は今やお仕事の上でベストパートナー。土門さんは劇場版ではかなりワイルドですし、頼もしさもスクリーンサイズになって、かっこいいなと感じました！

内藤：本当(笑)？！

沢口：(笑)。そして、劇場版ではマリコの元夫・倉橋拓也さんが久々に登場します。渡辺いっけいさん演じる倉橋拓也とマリコ、そして土門の3ショットが見られる場面があるので、これをぜひ楽しみに見ていただきたいと思います。

内藤：(渡辺)いっけいか、俺か、どっちがマリコに似合うかを見てください(笑)！

……というのは冗談ですが、土門はマリコの元夫の存在を知らない設定。そんな中でいよいよ3人が対面することになるので、土門はどんな顔で倉橋を見るのか、どういう展開になっているか注目してみてください。ちなみに僕自身は、過去のドラマシリーズの時から「なんで(渡辺)いっけいがマリコみたいに魅力的な人の夫なんだ？！」と思っていたので(笑)、20年越しにやっと会えたな、という感覚ですね。

ファンの皆さんにとっても必見ですね。事件捜査においてもやはり安定のコンビネーションが見られるのでしょうか。

内藤：事件捜査に関しては、むしろいつもとは少し違う二人の連携の仕方が見どころになっています。今回科捜研チームが相手取るのはシリーズ史上最強の敵。もちろんマリコと土門だけではなく、科捜研チーム全体で必死に事件と戦っています。

当然一筋縄ではいかないので、難解な事件に対して二人がどのようなアプローチをとるのか、というところを楽しんでいただければ、と思います。

いつもとは異なる形の二人の連携が楽しめる、と。

沢口：そうですね。物語のカギを握る重要な部分でもあるので、演技について内藤さんと二人でお話しながら作っていきました。

ちなみに、お二人で演技に関する相談をすることはよくあるのですか？

内藤：ここは大事だ、という時はちゃんと言葉で言うようにしています。基本的にはもう20年もやっているので、何もしなくても台本を読んで現場に行けば大体OKなのですが、絶対的に大事な部分については言葉で話し合います。

沢口：そうですね。私も、普段は同じ方向を向いて、信頼する気持ちを持っていればチームワークは自然と生まれてくるものだと考えていますが、ポイント、ポイントで迷ったり、リクエストがあったりする時は言葉を使って相談するようにしています。

内藤：いつもは信頼関係がすでにできているので、よっぽどのことがない限りはあえて話し合うこともなく撮影が進んでいきます。むしろ、相談が必要な時はかなり重要なことをやる時。なので、そういった意味でも今回の劇場版ではある種の必死さや緊迫感を感じ取っていただけるのではないかと思います。

改めて、沢口さんと内藤さんが作り上げてきた“マリコと土門”の絆の深さがうかがえます。

内藤：マリコと土門の関係性は、今はとても良い形に収まっていますよね。マリコが科学の面で事件に迫り、土門は感情や倫理で捜査していく、という役割分担もしつつ、連携もできている。でも初期のマリコと土門って、実は対立していたんですよ。喧嘩ばかりしていましたから(笑)。

ですが、長くやらせていただいているうちに、スタッフの皆さんと意見交換や微調整を重ねていくことができて、マリコも土門もずいぶんと変わりました。皆さんのおかげで二人が変わっていって、今の形があるわけです。結果的に、今の作品の中で良い関係性を描くことができているのは、役者としても非常に幸せなことだと思いますね。

役柄とも長い付き合いになると思いますが、マリコ、土門とご自身でそれぞれ共通する部分はありますか？

沢口：“思考”でしょうか。正確さや規則正しさを重視する考え方が、マリコと似ているかな、と思います。文系・理系で分けるなら理系のような考え方かなあ、と。なので、マリコのセリフを言っていると、ふと「気持ちいいな」と感じる時もあります。

内藤：土門はリーダーシップがある人。僕も割とみんなを引っ張っていくタイプなので、そういうリーダー気質っぽいところは似ている気がします。自分で言うのも恥ずかしいですが、大学の頃から「芝居は下手だけどみんなをまとめて引っ張るのはうまい」と言われていたもので(笑)！それだけは上手だと言われていました(笑)。

あとは、あまり負けを認めないところでしょうか。けんかっ早いと言いますか。まあ、これだけ長く演じていると、もはや土門が自分の一部になっている感じもありますね。

二人の俳優として、“肉親”のような関係性

では逆に、長い間共演されてきたお二人の、役を離れたところでのお互いの印象を教えてください。

沢口：内藤さんとはもうすごく長いお付き合いになりますが、知識が豊富で音楽や司会もこなす多才な方。ですが、私と同じ大阪出身で、ざっくばらんでお話も楽しい方です。

内藤：でもこの人は、僕と共演したほとんどのことを忘れているんですよ(笑)！ 今まで色々な役で共演してきましたが、“俳優同士の沢口さんと内藤”という関係性で言うなら、兄妹でもなく、もちろん夫婦や恋人でもない。あえて言うなら“家族・肉親”が近いと思います。

沢口：肉親のような距離感の近さはありますよね。

内藤：ずっと家族のような感覚でやってきた感じがあります。ドラマのマリコと土門も恋愛には発展しないと思いますが、独特の距離感がありますよね。役を演じているとはいえ、俳優同士の関係性に嘘があると画面越しにばれてしまうので、それが作品にとっても良かったのかな、という気がします。

でも、やっちゃんに「寂しかったら電話して」と言っても1回もかかってこないですけどね！1回も！(笑)

沢口：(笑)。初めて内藤さんとお会いしたのは私が22歳の時に出演した作品でしたよね。

内藤：僕が32歳の時ですね。そこから長い時間を経ていますが、第一印象から今まで、ほとんど印象は変わらないですね。昔も今も、画面上で見る「沢口靖子」と変わらない“このままの人”という感じで、それが素敵なところだと思います。

僕も普段は特に変装しませんが、やっちゃんも一切変装しないで歩いてきたりして。ばったり会うと不思議な感じがします。これだけ長く共演しているけれど、新鮮に「沢口靖子じゃん！」と思うんですよ(笑)。

私生活でも自然体で過ごされているのですね。

沢口：そうですね、飾らない、と言いますか、無防備と言いますか……(笑)。私生活の中で俳優として意識して過ごす、ということはあまりないかもしれません。俳優は与えられた役に魂を注いで、忠実に表現するのがすべてだと思いますので、少しミステリアスでもいいかなあ、とも思っています。強いて発信しようとはしないタイプですね。

内藤：僕もやっちゃんと同じですね。いただいた台本をなるべく面白く演じる、ということが僕のやることなので、一見べらべら喋っているように見えるかもしれませんが、実はあまり自分のことは話さないんです。SNSのような発信も一切やっていません。あえてSNSを見に行って「なんじゃこれ！めっちゃ腹立つな！」みたいなことをしなくてもいいかなって(笑)。やはり作品こそ全てですし、映っているものの中で皆さんには楽しんでいただけたらいいな、と思います。

シリーズ史上最強の敵に、佐々木蔵之介

そしてシリーズ史上“最恐最大の敵”に抜擢されたのは、話題の映画・ドラマ・舞台に出演が絶えない佐々木蔵之介だ。佐々⽊演じる加賀野亘は、⼈間の腸内にある「未知の細菌」を発⾒し、世界的に脚光を集める天才科学者。研究にのめりこみ突き進むマッドサイエンティスト的⼀⾯を持つ加賀野が、マリコたちの前へと立ちはだかり、予想もつかない展開へと導いていく。

若村麻由美、風間トオルらレギュラーキャストも出演

そんな二人を取り囲むキャストには、テレビシリーズのレギュラーキャストである若村麻由美、風間トオル、金田明夫、斉藤暁、西田健、渡部秀、山本ひかる、石井一彰らが出演決定。

さらに渡辺いっけい、小野武彦、戸田菜穂、田中健、野村宏伸、 山崎一ら、テレビドラマシリーズを彩ってきた歴代キャストたちも勢ぞろいする。