ダブレット(doublet)の2021-2022年秋冬コレクションが、2021年1月23日(土)関東某所で発表された。オンライン上でのコレクション発表が多いシーズンだが、ダブレットのランウェイは“生で見れてよかった”と心底思えるユニークなショーだった。
会場は、アクション映画の撮影が行われそうな緊張感のある雰囲気で、どこから集めたのかわからない中古車やロッカーなどが並び、たくさんの廃材の前には重機が、また至るところでは炎が燃えている。
ショーの始まりはたくさんのモデルたちの登場から。改めて今季のルック群を見せるため、ショー終わりにモデルたちが集合するのは一般的であるが、もったいぶらずに全ルックを見せてしまうのが今季のダブレット流。
ぬいぐるみ一体型のコートやオーバーオール、某キャラクターチョコレート菓子を想起させるキラキラT、戦隊モノのレンジャーT、動物のように毛足の長いファーシューズなど、一度に見るのは困難なほどユニークなアイテムに溢れている。
さらにツッコミたくなるのは、モデルたちの歩き方だ。一人また一人…と出てくるのはいいが、みんな後ろ向きに歩いていく。“特等席”であるはずのシート席からもはっきり見えるのは後ろ姿ばかりで、ぎこちない足取りに心配になりながらも、モデルたちの行く末を見守っていると、後ろでは中古車やロッカーが次々に潰され、見るも無残なほどにぺちゃんこに…。
その奇抜な演出に度肝を抜かれていると待っていたのは“違和感の種明かし”。ショーの全貌はレコーディングされており、大きなスクリーンで「逆再生」すると…モデルたちは真っ直ぐに歩いていて、全ルック集合のショットがフィナーレを飾っている。面白いのは潰された廃材らで、ぺちゃんこの状態から命を取り戻したようにすくすくと戻り、破壊された会場も元の形に。オンタイムで見るからこその臨場感やワクワク感に溢れたショーは、観るものを元気づけてくれる。
気になる今シーズンのアイテムだが、ヴィンテージテイストを取り入れた温かみのある仕上がりだった。モノグラム(※ダブレットのDBロゴ)のロングトップスやスカーフ風シャツ、チューリップハット、ベルベットのガウンコートなど、古着屋で見かけるような懐かしいテイストが満載。合わせたパンツは、色褪せたグリーンやオレンジ、イエローなどが選ばれていて、昔にタイムスリップしたかのような居心地のよさを感じさせる。
また、表情のある素材使いも印象的だった。表面にミラー加工を施したような艶のあるレザーや、一部分だけ長く伸び切ったニットなど、クセのあるファブリックたちが日常着をおしゃれに魅せている。
もちろんダブレットならではのチャーミングな仕掛けも満載で、竹林を想起させるバンブー柄のジャケットや、ハートウォーミングな羊モチーフのニットトップなど、纏うものをハッピーにしてくれる愛に溢れたピースも揃っていた。