ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)は、2021-22年秋冬ウィメンズコレクションを発表した。
フランス・パリのルーヴル美術館内、ミケランジェロ・ギャラリーとギャラリー・ダリュを舞台に展開された今季のルイ・ヴィトン。文明の本質が築かれた黄金時代にまで遡り、古代ギリシャ・ローマ世界のイメージをクリエーションに投影した。美の哲学が花開いた不朽の時代へと思いを馳せ、ロマンあふれる壮大な叙事詩を紐解いていく。
鍵を握るのは、イタリアのアーティスト、ピエロ・フォルナセッティのアートワーク。1940年にフォルナセッティが設立した「フォルナセッティ・アトリエ」とコラボレーションし、古代のイメージを掻き立てる繊細な彫刻を描いた絵画をウェアに落とし込んでいる。
ルイ・ヴィトンのウィメンズ アーティスティック・ディレクターであるニコラ・ジェスキエールは、コラボレーションのために13,000点におよぶ「フォルナセッティ・アトリエ」のアーカイヴからフォルナセッティ特有のテーマ、アートワークをセレクト。古典主義を探求し、美的なイマジネーションを駆使して描き出されたフォルナセッティのアートワークは、現代や未来とも呼応する普遍的なクリエイティビティと神秘的な感覚を呼び起こす。
彫像モチーフを反復してプリントしたパフィージャケットは、ゴールドコーティングを施すことで陰影をつけ、ライナーにもゴールドを採用して華やかに仕上げた。ボリューム感のあるボンバージャケットや、オーバーサイズのジャカードコートなどは、起毛感のある生地の柔らかな質感と、繊細かつ大胆に描かれたアートワークが共鳴。手に抱えたバッグは、彫刻の顔をそのまま切り抜いたかのようなデザインが存在感を放つ。
さらに、精巧に施された装飾的なディテールによって、アートの輝きが際立ち、ファッションとの連関はより深みを増していく。白黒のグラフィックを配したコートには、柔らかく軽やかなチュールのフリルスカートを重ね、華やかな更紗模様のジャカードジャケットにはさりげなく彫像モチーフを織り込んだ。また、ビーズ刺繍で絵画が剥がれ落ちるかのようなイメージや、絵筆のようなタッチを表現したミニドレスも登場した。
アートワークに加え、立体感のあるスカルプチャーのようなフォルムにも注目だ。グレーのコートとレッドのブルゾンをジョイントさせた構築的なアウターや、袖の途中に複数の穴を配し、穴から腕を出すことのできるニット、肩を強調したオーバーサイズのチェスターコートやフライトジャケットなどが登場。生地をたっぷりと使い、ふんわりと丸く空気を含むような造形でボリュームを出したアウターは、身体を拡張するかのようなダイナミックさをもたらしている。
コレクション終盤に登場したパフィージャケットや中綿入りミニドレスは、クラシカルなイメージと現代的なポップさ、さらには近未来的なミステリアスさがクロスオーバーする、新鮮な佇まいに。彫像のグラフィックを背中合わせに並べたミニドレスは、中綿ならではの3D感を生かした直線的なフォルムが特徴的。裾にフリンジのようにして並べられたパーツが、歩を進めるたびに躍動感を演出する。