その好例となるのは、パリ・オペラ座で発表した2002-03年秋冬パリコレクションのルック。チェック柄やレオパード柄など、ブランドらしい様々なモチーフを組み合わせたスカートは、一本一本異なる素材をテープ状にバイヤスにカットし、繋ぎ合わせたパンクカット。高い技術を要する一着だ。
また一見カジュアルに見えるデニムパンツに施されたのは、「ワラカット」と呼ばれる、生地の経糸を引き出し、特殊メスでカットして洗うことで模様が浮きでる刺繍柄。デニム生地をあえて‟ほつれさせる”ことから生まれるその模様は、東北の伝統刺繍・こぎん刺しを彷彿させる温かな表情が印象的だ。
さらに2000年代のワードローブの中には、グランジ風のテイストも詰め込まれている。ニードル刺繍でストリートなアルファベットを表現したジャケットや、斬りっぱなしの薄手のロングファーコートなどが展開されている。
なお2021年6月9日(水)から開催される「ファッション イン ジャパン」では、これらのラインナップとは異なる1970年代、80年代のアーカイブ作品を展示。ブランドの歴史に触れることができる貴重なチャンスなので、是非足を運んでみてはいかがだろう。