ヨウジヤマモト(Yohji Yamamoto)は、2022年春夏メンズコレクションを、前シーズンに続きデジタルショー形式にて発表した。
陰影を切り拓くようにして、黒に他の色彩を差し込んだルックが印象的だ。ブラックのテーラードジャケットとパンツには柔らかな白の布地をアシンメトリーに重ね、一体となっても決して交わらない、白と黒の不均一なコントラストをウェアに投影した。
また、“朱色”を黒いジャケットの合わせやパンツの裾からのぞかせたルックも登場。朱色ならではの鮮烈さをもって装いに刺激をもたらし、白/黒の関係性とはまた異なる配色の作用を見せている。
また、一際存在感を放っていたのがニュースペーパーのコラージュ。ゆったりと仕立てたジャケットやワイドパンツの身頃に様々な新聞記事をコラージュして転写。所々、印刷の過程で黒いインクが滲んでいるかのように記事が黒くつぶれており、切り替えた黒い布地との境界線を曖昧にしている。黒地で切り替えたジャケットの袖やパンツの半身には、繊細な線で描かれたイラストがぽつんと佇み、独特の表情を見せる。
全面にニュースペーパーコラージュを配したコートやベスト、パンツには、鮮やかなイエローやブルーのペイントをオン。不規則に飛び跳ねる絵具の痕跡が、文字がずらりと並ぶウェアに躍動感を与えている。足元には、新聞紙を切り抜いてそのまま貼り付けたかのようなデザインのスニーカーを組み合わせた。
腕や目、口を切り取ったモチーフを並べたジャケットやパンツは、その独特なタッチと麻の質感によって、どこか余韻を残していく。それぞれの身体のパーツは、流れるような布地の上に配されることで動きを得て、暗いところからすっと不意に現れるかのような、ミステリアスな空気を漂わせている。
加えて、写実的な花のモチーフも目を引く。ブラックのロングジャケットには、袖から身頃にかけて立体的なタッチで描かれた大輪の花が装飾されている。しなやかなロングコートや、ドレープ感のあるワイドパンツには、様々な色のハイビスカスの写真を繋ぎ合わせてプリント。暗いフィルターがかかっているような影のあるトーンが、生々しさや毒っぽさを思わせる。
工具モチーフのアクセサリーやチェーンネックレスといったジュエリーは、リーフェ ジュエリー(RIEFE JEWELLERY)の春井里絵が手がけたもの。ヨウジヤマモト 2021年秋冬ウィメンズコレクションでは、ジュエリーライン「ヨウジヤマモト バイ リーフェ」も披露している。
尚、ウェアのアートワークは継続的にヨウジヤマモトとタッグを組んでいる画家・朝倉優佳が手がけた。