ネイプ(NAPE_)の2022年春夏コレクションが発表された。
今季のテーマは、“OUR SOCIAL DILEMMA”。本コレクションでは、物事における陰と陽、その二面性に着目し、「ジレンマが溢れかえる社会の中では俯瞰視点を持って1つ1つを冷静に判断する思考と、選択肢に多様性を持たせ他者を尊重しながら前向きに愉しむ心、この2つこそが重要である」というメッセージを洋服を通して表現した。
よって、“多様”な解釈ができる衣服が勢ぞろい。グラフィックに二面的な意味を持たせたプリントTシャツをはじめ、着る者を選ばないジェンダーレスのオールインワン、シティウェアにもスポーツウェアにもなるセットアップなど、私たちが自由に判断・選択可能なアイテムが登場する。
まず目を引くのは、ダイナミックにプリントされたグラフィックの数々。モッズコートやパンツなど全体を通して多用されているカラフルな“都市ゴミ”柄のほか、天使と悪魔を“同じ見た目”で描いたものや、最後の晩餐を大胆にサンプリングしたものなど、多様なモチーフが登場した。
それぞれのグラフィックには、社会風刺的な意味が込められているのも特徴。たとえば、一見手を繋ごうとしているように見えるハンドモチーフは、影を“拳銃”に見立てることで「表向きは協力的だが巧妙なアルゴリズムで搾取するソーシャルメディアの闇」を表現。SNSの二面性を皮肉的に訴えかけている。
シルエットは全体的にゆったりとリラックスした印象。体のラインを緩やかに包み込むフルジップのオールインワンをはじめ、光沢感のあるロング丈のクラシカルなキューバシャツなど、オーバーサイズでジェンダーレスに着用できるアイテムを揃えている。
また、着心地の良さと機能性を実現する素材使いにも注目。白のステッチが爽やかなリラックススーツは、使い込むほどに味の出るハイパワーストレッチデニムを使用することで軽やかな着用感に。スポーツセットアップには、袖や背中、太もも裏など汗をかきやすい部分にスポーツメッシュ素材を配置し、普段着としてだけでなくトレーニングウェアとしての機能も備えた。
コレクションにリズムを与えるのは、大胆なカラーブロッキング。イエロー、ブルー、ピンクなど、トーンの異なる配色で遊び心をプラスしながらも左右対称に構造的なブロッキングを施すことで、クリーンかつ洗練された雰囲気に仕上げた。